労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  沖労委平成26年(不)第1号
協同リネンサービス不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2組合(X1組合Y商事分会)、X3(個人) 
被申立人  有限会社Y(会社) 
命令年月日  平成28年7月28日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、会社がX2組合の書記長X3の労働契約を平成26年10月11日で終了したことが労働組合法第7条第1号に該当するとして、また、組合員の労働条件等を議題とした団体交渉申入れに対する会社の対応が同条第2号に該当するとして、X1組合、X2組合及びX3から救済申立てがあった事件で、沖縄県労委は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 X3に対する不利益な取扱いについて(争点1)
(1) 申立人らは、X3と会社の労働契約は期間のさだめのないものである旨主張するが、X3採用時において、X3と会社の間では6か月の有期労働契約を締結することについて齟齬はなく、当該労働契約は期間6か月の有期契約であったと認められる。
(2) B1主任が契約更新はあるかもしれない旨の発言をし、X3に契約更新の期待を抱かせたなどの申立人らの主張について
① B1主任が契約更新はあるかもしれない旨の発言を行ったかは明らかでなく、仮にB1主任においてそのような発言を行ったとしても「それはわからない。(中略)分からんよ。」という念を押した上での発言である。
② B1主任は、シーツ・タオル等の仕上げを担当する現業職のパートタイム労働者に過ぎず、何らかの人事権を有していたことを裏付ける証拠はまったくない。
③ このようなことからすると、X3が、平成26年10月11日の契約期間の満了時に契約が更新されるという期待を抱く余地はなく、仮にX3がそのような期待を抱いたとしても、これに合理的な理由があったとは認められない。
(3)会社が、X3の組合活動を嫌悪した故に解雇又は雇止め等、X3に対する不利益取扱いをした旨の申立人らの主張について。
① X3と会社との間の労働契約は6か月の有期契約であり、期間満了によって終了したものと認められる。
② 加えて、組合員と非組合員との間で契約更新の取扱いに特段の相違はなかったと認められる。
② また、会社が、契約期間満了通知書を交付したときまでに、X3が組合員であると会社において認識したことを窺わせる証拠はない。
(4)以上を総合すると、会社がX3を解雇した事実は認められないのみならず、会社がX3との労働契約を終了したことについて、組合員であるX3に対する不利益な取扱いがなされたとも認めることができないし、会社が組合活動を嫌悪したことによるものとも認められない。
 したがって、会社が、平成26年10月11日をもって、X3との労働契約を終了したことは、労組法第7条第1号には該当しない。
(2) 分会が就業時間内での団体交渉を申し入れたのに対し、これを承諾しなかった会社の対応について
① 本件においては、就業時間内に団体交渉を行う慣行も合意も存在しない以上、分会が就業時間内での団体交渉の開催を当然に求めることはできない。
② B2取締役が就業時間中に団体交渉のために職務を離れることは業務に重大な支障や混乱が生じるおそれが極めて大きいなど、就業時間内の団体交渉の開催が困難な理由として会社があげる理由には特段不合理な点はない。
③ したがって、会社の対応は、団体交渉を拒否したものとはいえない。
(3) 分会が会社施設内での団体交渉の開催を申し入れたのに対し、これを承諾しなかった会社の対応について
① 本件においては、分会と会社の間には、団体交渉のあり方についての慣行は全く形成されておらず、団体交渉に関する特段の取決めや合意なども存在しない。
② 加えて、分会の要求に係る会議室が団体交渉の場所として相当でない理由として会社が掲げる、急な来客対応に備えて空けておく必要がある等の説明には特段不合理な点は見当たらない。
③ したがって、会社の対応は、団体交渉を拒否したものとはいえない。
(4) 会社が提示した代替案の日時及び場所は、分会にとって団体交渉の開催を著しく困難にするようなものではなく、この点においても、会社が団体交渉を拒否したものとは認められない。
(5) したがって、会社の対応は、労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否には該当しない。  
掲載文献   

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