労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成24年不第71号
富士美術印刷不当労働行為審査事件  
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  株式会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成28年7月5日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   申立外Z社は、被申立人会社代表者の親族が経営する会社であり、会社から製版業務を委託され、会社の社屋のワンフロアを賃借して業務を行っていたところ、平成24年9月14日、破産手続開始決定を受けた。その後、組合及び組合の分会は、会社に対してZ社で働いていた労働者の雇用を求めて団体交渉を要求したが、会社は、団体交渉に応じる必要はないとして、これを拒否した。
 また、会社は、分会所有のロッカーの撤去を求め、その後、設置場所を移動し、さらに組合の掲示物を撤去し、組合員の社内への立入禁止を通告するとともに、分会所有の組合旗等を持ち去った。
 本件は、①会社が、当該団体交渉に応じなかったことが正当な理由のない団交拒否に当たるか否か、②会社による、分会所有のロッカーの撤去要請及び移動、掲示物等の撤去並びに組合員の立入禁止等の措置、分会所有の組合旗の持去り等の行為が支配介入に当たる否かが争われた事案であり、東京都労委は、組合の申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 会社の使用者性と雇用問題に関する団体交渉の拒否について
① 会社がZ社の従業員であった組合員の雇用について雇用主と同視できる程度に現実的、かつ、具体的に、支配、決定することができる地位にあったか否かについて
ア Z社は、会社経営者の親族が経営する会社であり、また、会社はZ社の大口取引先であるから、会社は、Z社の経営に対して一定の影響力を有していたといえる。
イ しかし、会社は、Z社の破産申立て当時、Z社の破産申立て及びこれに伴うZ社の従業員の解雇に関与していたとは認められないし、また、Z社の従業員の賃金、労働条件等に関与していた事実も認められない
ウ さらに、20年前には、会社がZ社の従業員の採用に関与していたことは認められるものの、Z社の破産申立て当時は、会社がZ社の従業員の雇用に関与している事実は認められないし、また、Z社の従業員の転職又は再雇用のあっせんなどの便宜を図った等の疎明もない。
エ したがって、会社は、組合員らの雇用に関して、雇用主と同視できる程度に現実的、かつ、具体的に、支配、決定できる地位にあったとは認められない。
② このように、会社は、Z社の従業員との関係で労働組合法の使用者には該当しないのであるから、会社が、組合員らの雇用問題に関する団体交渉申入れに応じていないことは、正当の理由のない団体交渉拒否に該当しない。
2 ロッカーの撤去要請及び移動、掲示物の撤去並びに組合員の立入禁止措置について
① ロッカーの撤去要請及び移動について
ア 仮に、組合らとZ社との間で本件ロッカーの設置を認める便宜供与が労使慣行になっていたとしても、会社と組合らとの間でそのような労使慣行が成立していたとはいえない。
イ 会社が、残置物の所有者である分会に対し撤去を求めることには正当な理由があるし、この要請にもかかわらず、その後3年もの間、組合らは本件ロッカーを撤去しなかったのであるから、会社によるロッカー①の移動には、正当な理由がある。
ウ したがって、会社の行為は、支配介入に該当しない。
(2)掲示物、横断幕及びのぼり等の撤去について
 会社は、組合らに対し、労使協定に違反する掲示物、横断幕、のぼり等の撤去を再三要請したが、組合らが拒否し続けたことから、やむを得ず、掲示物、横断幕等の撤去に至ったものであり、会社の行為は、支配介入に該当しない。
(3)組合員の立入禁止措置について
① 会社は、口頭で会社施設内に立ち入らないよう求めたものの、組合らは聞き入れることなく、会社の敷地及び建物内で、ビラ配布、拡声器を用いた宣伝活動を行い、会社社長を取り囲む等の行為を継続したことから、会社は、組合員の立入禁止を通告したものであり、組合員の立入り禁止には相応の理由がある。
 また、会社が、実際に組合員を会社に立ち入らないようにする具体的な措置を執ったとの疎明はない。
② したがって、会社の行為は、支配介入に該当しない。
3 組合旗等の持ち去り等について
① 組合らが、門柱に組合旗等を設置する行為は協定に違反する行為であり、会社は、組合らに対し、再三、組合旗等を撤去することを求めたが、組合はこれに応じなかったことから、会社は、門扉両脇から組合旗等を撤去して保管し、また、返還するに当たっては、今後組合らが、門扉両脇に組合旗を設置しないよう誓約書の提出を求めたものであり、会社の対応には相応の理由がある。
 また、会社は、本件審査手続中に、組合旗等を返還している。
② したがって、会社の行為は、支配介入に該当しない。 
掲載文献   

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