労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成25年不第9号
レラ・六本木販売不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  株式会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成28年6月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成21年2月、A2は会社と雇用期間を1年間とする雇用契約を締結し、その後契約を更新しつつ会社で就労していたところ、24年2月、同月末日付解雇を通告されたため、組合に加入した。
 組合は、会社に対し、A2の組合加入を通知するとともに、同人の解雇撤回等を求めて団体交渉を申し入れ、3月に団体交渉が2回開催された。その後、5月に実施された第3回団体交渉において、組合が、紛争解決に向けた打診を行ったところ、後日、会社の代理人から、これに応じられない旨の回答を受けた。
 平成24年10月25日、組合が団体交渉を申し入れたところ、会社は代理人を通して回答する旨を述べたが、その後組合への回答はなされなかった。
 本件は、平成24年10月25日付け団体交渉申入れに対する会社の対応が、正当な理由のない団体交渉に当たるか否かが争われた事案で、東京都労委は、会社に対して、団交応諾及び文書の交付・掲示を命じた。  
命令主文  1 会社は、組合が同組合の組合員A2の解雇についての団体交渉を申し入れたときは、これに応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、会社の従業員の見やすい場所に、10間掲示しなければならない。

年 月 日
X組合
執行委員長A1様
株式会社Y        
代表取締役 B1

 貴組合の平成24年10月25日付団体交渉申入れに対する当社の対応は、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は、文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  (1) 本件団体交渉申入れへの対応について
 会社は、本件団体交渉申入れに対し、弁護士を通して回答する旨を組合に伝えたものの、その後、会社も弁護士も、組合に対し何らの連絡を行っていない。
 さらに、6月22日の電話連絡においてC弁護士がA3書記長に対し、労働審判を申し立ててほしい旨を述べていること、本件審査において、組合から再度団体交渉申入れがあるかどうかを見極めた上で、応じるか否かを決することとしたと主張していること、しかし、その後の組合からの再度の団体交渉申入れにも応じていないことなども考慮すると、会社には、本件団体交渉申入れに誠実に対応し、回答を行う姿勢がなかったものといえる。
(2) 本件団体交渉申入れに至る経緯について
① 本件においては、解雇予告通知書に解雇事由の具体的記載がなかったこと、A2は21年の再入社後においても契約を3回更新されていたこと、雇用契約書には契約当事者間に異議のない限り契約を更新する旨の条項があること、第3回団体交渉において初めて団体交渉に出席したC弁護士に対し、組合が、契約更新直後の解雇であることに関する質問を行っていることなどが認められる。このため、組合は、団体交渉において、契約更新直後に解雇され得るほどの解雇事由が存在するかについて問題視しつつ、会社に解雇事由を明らかにするよう求めていたことが認められる。
 これに対し、会社は、第1回団体交渉には解雇事由に関する具体的資料を持参しておらず、また、B2部長は営業事務担当であるA2の直接の上司ではないことから、詳細な説明ができなかったこと、第2回団体交渉においても、日報の記載内容を見てもA2がどのように仕事ができないかが明らかでない等として、組合が解雇事由の具体的な事情を説明するよう求め、資料の複写の申出をしたにもかかわらず、これを拒否したことなどが認められる。また、第3回団体交渉には、組合の求めに応じてC弁護士が出席したものの解雇事由に関する回答は、第2回団体交渉と同旨のものにとどまっている。
 以上の経緯に照らすと、A2の解雇事由について、会社による詳細な説明がなされ、双方が主張を尽くしたものということはできない。
② 組合が第3回団体交渉において、金銭支払いを伴う紛争解決の可能性について打診を行い、会社がこれに応じられない旨の電話回答を後日行っているところ、このやり取りは、紛争の解決条件に金銭支払条項を加える旨の提案とその拒絶という労使間交渉の一局面にすぎないというべきであり、会社の電話回答をもって、A2の解雇問題について、労使双方が主張を出し尽くした状態に至ったとは到底評価することができない。
(3) 以上のことから、会社が、本件団体交渉申入れに回答せず、団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。  
掲載文献   

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