労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  平成27年道委不第3号
不当労働行為審査申立事件 
審査申立人  Xユニオン(「組合」) 
審査被申立人  株式会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成28年3月25日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   会社が、組合との間において、平成26年12月12日付けで 社員1 6名に係る未払賃金問題等に関する和解合意書を交わしたのにもかかわらず、第2回支払期日以降の解決金の支払を履行していないこと、並びにこの不履行を交渉事項とする団体交渉の申入れを組合が書面により3 回(27年1 月29日付け、同年2月9日付け及び同年3月2目付け)にわたり行ったところ、会社は上記申入れに対し何ら回答をせず団体交渉に応じなかったことが、労働組合法(昭和24 年法律第174 号。 以下「法」という。)第7条第2号及び第3 号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事案である。
 北海道労委は、会社に対して、申立人組合員の未払賃金問題等についての和解合意書の未履行部分の速やかな履行、文書の交付・掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人との間で締結した申立人組合員の未払賃金問題等についての平成26年12月12日付け和解合意書の未履行部分を速やかに履行しなければならない。
2 被申立人は、和解合意書の未履行部分につき、申立人が平成27年1月29日付け、同年2月9日付け及び同年3月2日付けで申し入れた団体交渉を拒否してはならず、これに速やかに応じなければならない。
3 被申立人は、次の内容の文を、 日本工業規格A4 判縦長白紙にかい書で明瞭に記載して、申立人に対し、本命令書写しの交付の日から10日以内に手交しなければならない。           記
 当社が、貴組合に対して行った下記の行為は、北海道労働委員会において労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにします。
記(省略) 
判断の要旨  1 組合が平成27年1月29日付け、同年2月9日付け及び同年3月2日付けで申し入れた団体交渉を会社が拒否したことは、法第7条第2号の不当労働行為に該当するか。
 組合によるこれら3回にわたる団体交渉の申入れは、時期に後れず合理的な期間内になされたものであって、会社は正当な理由がない限り、使用者として団体交渉に応諾する義務を負うというべきである。
 次に、会社の対応をみてみると、会社は組合の申入れに対し、一切応答することなくこれを無視したと認めることができるものであって、こうした会社の対応は、組合の団体交渉の機会を奪うものであり、団体交渉拒否(以下「本件団体交渉拒否」という。)に当たる。
 さらに、会社は、本件に関し一切の主張立証をしておらず、本件審査で採用された証拠及び審査の全趣旨を考慮しても、本件団体交渉拒否の正当な理由は存在しない。
 以上によれば、会社は、正当な理由がなく団体交渉を拒否したものというべきであり、これら会社の行為は、法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
2 会社が、組合と取り交した26年12月12日付け和解合意書を誠実に履行しなかったことは、法第7条第3号の不当労働行為に該当するか。
 本件和解合意は、組合結成の主要な目的であり、かつ、活動上重要な位置を占める組合員の未払賃金問題等を終局的に解決しようとするものであるから、組合活動の大きな成果てあり、組合員及び組合にとって重要な位置を占めるものといえる。また、会社は、本件和解合意が組合活動の成果として大きな意味を持つことを認識 していたと考えられ、会社の態度は、本件和解合意を履行しようとする姿勢を著しく欠くものといわざるを得ない。さらに、審査の全経過を見ても、当該不履行がやむを得ないなどの特段の事情は認められない。
 以上によれば、本件和解合意の不履行は、組合員に不利益を及ぼすとともに、組合員に、組合に対する不信を抱かせ、その運営に少なからぬ影響を及ぼすおそれがあるものといえるから、組合の存在を無視又は軽視することにより、その弱体化を企図した支配介入として、法第7条第3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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