労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  神労委平成26年(不)第37号
東住工業不当労働行為審査事件 
申立人  Xユニオン(「組合」)  
被申立人  有限会社Y工業(「会社」) 
命令年月日  平成28年5月16日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、申立人組合から、平成26年7月11日付けで申入れのあった、同社でアルバイト従業員として自動車用フロアーマットの製造の業務に従事していたA2の雇用問題等を議題とする団体交渉に応じなかったことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
 神奈川県労委は、団体交渉に応じなかったことは不当労働行為に当たるとして、会社に対して、誠実団交応諾、文書交付を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成26年7月11日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に交付しなければならない。
 当社が、貴組合が平成26年7月11日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
Xユニオン
執行委員長 A1 殿
有限会社Y工業
代表取締役 B1
 
判断の要旨  ア 会社の団体交渉応諾義務について
 組合が本件団体交渉要求書で交渉を要求した交渉事項は、A2の解雇問題や同人の未払賃金、社会保険未加入問題等についてであり、これらは雇用関係の存続又は、労働者の在職中の労働条件その他の待遇に関することであるから、会社には団体交渉に応じる義務がある。
イ 会社の本件回答書による対応について
(ア) 組合は、本件回答書による会社の対応が労組法第7条第2号にあたると主張し、会社は本件回答書により平成26年9月以降の団体交渉を提案しており団体交渉拒否にはあたらないと主張する。
(イ) 労働組合が、団体交渉要求の際に、団体交渉の日時、場所、所要時間等について指定して要求することがあっても、これらの事項は労使双方の合意により決定されるべきものであるから、使用者は、業務の都合、準備の都合その他の理由により交渉日程、場所の変更等についての協議を申し入れることができる。そして、使用者がそのような申入れをしたことをもって、直ちに、労働組合の要求する団体交渉を拒否したということはできない。
(ウ) 会社は、組合からの本件団体交渉要求書に対し、本件回答書により、具体的な事情こそ明らかにはしなかったものの、「当方の予定も聞かずして交渉日時を決めるのは、非常識はなはだしい。よって、『26年8月6日午後3時半』の交渉には応じられない。早くても9月以降を望む。時間も当方の都合を考慮すべきであろう。」と交渉日程の変更についての協議を申し入れている。上記申入れは平成26年8月中は交渉を行うことが難しいとするとともに、会社の都合も考慮して日程を決定してもらいたい旨を提案するものであって、団体交渉を受諾することを前提として日程等の提案を行っているものである。よって、これをもって、直ちに、労働組合の要求する団体交渉を拒否したということはできない。
ウ 会社の平成26年11月12日の電話回答について
(ア) 組合は、平成26年11月12日の会社の電話での対応が労組法第7条第2号にあたると主張し、会社は、会社の対応は正当な理由のない団体交渉拒否にはあたらないと主張する。
(イ) B2は、平成26年11月12日のA1委員長からの団体交渉に応じるのかという質問の電話に対し、会社は現在、破産状態であり、団体交渉に対応できる状況ではない旨を回答している。
 組合は、本件回答書で会社が時期の変更を申し入れた平成26年9月以降である同年11月に団体交渉について質問しているのであり、これに対して、B2が具体的な日にち、時間や場所の提示もなく、単に団体交渉に応じられる状況ではないと回答したことは、会社は団体交渉そのものを拒否したものと判断せざるを得ない。
(ウ) そして、会社は、団体交渉を拒否する理由として、破産状態で対応できない旨のみを述べている。確かに、会社は平成26年12月末日には休業する事態に至るのであるから、同年11月には、経営が厳しい状況におかれていることは容易に推察できる。しかし、前記アのとおり会社には団体交渉に応じる義務があり、経営が厳しい等の会社の事情は、団体交渉に応じ、その場で説明したり、主張したりすべきことであり、そのこと自体は団体交渉を拒否する正当な理由にはならない。
(エ) また、会社は、任意退職した元社員の件で団体交渉をする必要はないとも主張する。
 しかし、労組法第7条第2号の規定する「雇用する労働者」とは、現実に雇用関係が存続している場合だけではなく、雇用関係の終了そのものについて当該労働者と当該使用者との間に争いがある場合には、当該労働者は、なお「雇用する労働者」に当たり、当該労働者の所属する労働組合は「雇用する労働者の代表者」に当たると解される。
 組合はA2の解雇を無効と主張していて団体交渉を申し入れていることから、A2と会社の間には雇用関係の終了について争いがあり、A2は会社の「雇用する労働者」に当たり、組合は「雇用する労働者の代表者」に当たる。よって、A2が退職していることをもって団体交渉を拒否することは、正当な理由による団体交渉拒否とは認められない。  
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約120KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。