労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  兵庫県労委平成26年(不)第8号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社 
被申立人  Y2会社 
命令年月日  平成28年4月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   兵庫県労働委員会の救済命令を受け入れ、①直ちにA分会(以下「分会」という。)の組合員らの原職復帰を実現すること、②分会の組合員らに対する平成21年10月1日以降の未払賃金を直ちに支払うこと、③組合及び分会の組合員らに対して謝罪することを議題とした平成25年9月6日付け等の団体交渉申入れに、Y1会社及びY2会社が応じなかったことが労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
 兵庫県労委は、Y1会社及びY2会社は労組法上の使用者に該当し、正当な理由のない団体交渉拒否に該当するとして、両社に対して、団交応諾及び文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人Y1会社及びY2会社は、申立人組合が平成25年9月6日、同年10月16日、同月23日及び平成26年5月20日付けで団体交渉を申し入れた事項のうち、組合員らの原職復帰に関する事項及び組合員らに対する平成21年10月1日以降の未払賃金の支払に関する事項について、それぞれ誠実に交渉に応じなければならない。
2 被申立人Y1会社は、本命令書写し交付の日から7日以内に、下記文言を記載した文書を申立人組合に手交しなければならない。
記(省略)
3 被申立人Y2会社は、本命令書写し交付の日から7日以内に、下記文言を記載した文書を組合に手交しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨  1 Y1会社及びY2会社は、労組法上の使用者に該当するか。(争点1)
(1) Y1会社について
 Y1会社及びC1会社は、両社の創業者であるB1及び両社の株主又は役員であるその親族(以下併せて「C5一族」という。)が鉄関連業務を中心とする各種の事業経営を遂行するための手段として設立し、又は経営する会社であり、実質的にC5一族の下で一体性を持つ経営体を構成していたのであって、その中でC1会社は、鉄関連業務を行うY1会社の運輸部門として機能していたものと認められる。
 団結権を侵害する行為を不当労働行為として排除し、是正して正常な労使関係を回復することを目的とする労組法第7条の目的に鑑みると、同条でいう使用者性を判断する上では、仮に私法上法人格を否認するための要件を充足しないとされる場合であるとしても、両社に実質的に経営体としての一体性があるという事情を重視すべきである。
 以上のとおり、Y1会社は、分会の組合員らに対する関係において、労組法第7条の使用者であると認めるのが相当である。
(2) Y2会社について
 Y2会社は、C1会社の解散時において存在しなかったものの、その設立後においては、C5一族の下でY1会社と一体性を持った経営体を構成しており、Y1会社から鉄関連業務を実質的に引き継いでいると認められ、このことからすると、Y2会社もY1会社と同様に、分会の組合員らに対する関係において、労組法第7条の使用者であると認めるのが相当である。
2 Y1会社及びY2会社が労組法上の使用者に該当する場合、両社が平成25年9月6日、同年10月16日、同月23日及び平成26年5月20日付けの団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当するか。(争点2)
 本件において、組合が申し入れた分会の組合員らの原職復帰及び組合員らに係る未払賃金の支払に関する事項が義務的団体交渉事項に該当することは明らかである。
 団体交渉に応じなかった正当な理由として、Y1会社は、中央労働委員会及び裁判所で係属している事件の手続内で交渉を行うことを繰り返し提案しているのであって、団体交渉を拒絶しているのではない旨主張し、Y2会社は、労組法上の使用者性についての関連事件が中央労働委員会で審理中であり、その点が確定するまでは、中央労働委員会及び裁判所での協議、交渉を持ちかけている旨主張するが、これらはいずれもY1会社及びY2会社にとって組合から申し入れられた団体交渉を拒否する正当な理由にはならない。
 したがって、Y1会社及びY2会社が、平成25年9月6日、同年10月16日、同月23日及び平成26年5月20日付けの団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由なく団体交渉を拒んだものであるから、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
 なお、本件の団体交渉は、兵庫県労委平成21年(不)第10号・第13号事件一部救済命令が発出されたことを契機として、その内容を実現するために申し入れられたものではあるが、本件で組合が救済を求めているのは、当該一部救済命令の救済内容そのものの実現ではなく、Y1会社及びY2会社が組合の申し入れた当該団体交渉に応じることであるので、申し入れた事項が義務的団交事項である以上、不当労働行為は成立すると判断する。  
掲載文献   

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