労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  岩労委平成27年(不)第1号の1
両磐酒造(団交拒否)不当労働行為審査事件 
申立人  X組合 
被申立人  Y会社 
命令年月日  平成28年2月23日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成27年5月28日、岩労委平成26年(不)第1号事件の審査において、両当事者間で和解が成立し、和解協定が締結された。本件は、この和解協定の履行に関する団交の申入れを被申立人会社が拒否するなどしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 岩手県労委は会社に対し、誠実団交応諾、文書掲示及び履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成27年6月4日付け、同年6月16日付け、同年7月8日付け、同年7月21日付け及び同年8月1日付けで申し入れた下記団体交渉事項について、業務等を理由に日程を引き延ばすことなく、回答の根拠を資料等に基づいて具体的に示すなどして、誠実に応じなければならない。
(1)平成27年5月28日に申立人と被申立人が締結した和解協定の履行に関する事項
(2)組合員の復職に関する事項
(3)労使事前協議会(仮称)の進め方に関する事項
(4)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条の高年齢者雇用確保措置に関する規程に関する事項
(5)A2の再雇用に関する事項
(6)A2に対する補償に関する事項
2 被申立人は、本命令書受領の日から7日以内に、日本工業規格B1版縦長白紙に下記のとおり楷書で明瞭に記載し、事務所内の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。なお、年月日は文書を掲示した日を記載すること。
記(省略)
3 被申立人は、前記各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  1 平成27年6月4日の団交申入れについて
 認定した事実によれば、被申立人会社は申立人組合が27年6月4日に行った団交申入れを拒否したものといえる。また、団交を行わない理由は、①本件和解協定9(2)に基づく雇用延長規程の作成については、就業規則第3節第20条に記載されていること、②和解協定9(1)に基づく組合員A2の雇用延長については、同人を再雇用すること及び労働条件等は本人と協議の上で決定したいこと、とされている。
 しかし、再雇用は労働条件と密接に関連するものであるから、規程に関し団交の申入れがあれば、会社は団交に応じなければならない。また、会社は和解協定において、再雇用に関する規程を早急に整備し、次回のA2の契約更新時以降は、整備した規程に基づき再雇用の手続を行うことについて、組合と合意したが、同人の契約更新満了日の翌日の時点では就業規則以外に具体的な手続等を定めた関連規程を整備していないことが認められる。そのような状況の中で、就業規則に再雇用に関する規定が作成されていることを理由に団交に応じないのは、正当な理由があるとはいえない。
 上記②の理由に関しては、一般に特定の組合員の労働条件についても義務的団交事項であるから、本人と協議することを理由に団交に応じないことは、正当な理由があるとはいえない。
2 同年6月16日から8月1日までの4回の団交申入れについて
 会社は、これらの団交申入れに対し、夏の中元シーズンを起因とする多忙を理由に団交の棚上げを求めていると認められる。
 しかし、この間、会社が団交に全く応じられないほど多忙であることについての立証はなされていない。また、当事者同士で定めた団交ルールがあるにもかかわらず、代替の日程の提示も全くなされておらず、さらには、自ら申し出ていた9月においても団交が行われていない。これらのことからすれば、夏の中元シーズンは団交を引き延ばすための口実であるといわざるを得ない。よって、夏の中元シーズンを起因とする多忙は、正当な理由であるとはいえない。
3 結論
 以上のとおりであるから、会社が本件団交申入れに応じなかったことは、労組法7条2号の不当労働行為に該当する。 
掲載文献   

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