労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成26年(不)第67号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合 
被申立人  Y会社 
命令年月日  平成28年1月29日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社の従業員である組合員Cの降格人事等について4回にわたり団交が行われたところ、①団交出席者についての会社の対応、②団交における会社側出席者の言動、③会社が申立人組合からの連絡等の窓口を代理人弁護士に限るとしたこと、④会社が一方的に設定した団交日程を強要した上、出席しなかった組合を非難したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 団交出席者に係る対応について
 本件団交の被申立人会社側出席者は、G次長、H課長、J係長及び代理人弁護士2名であったところ、申立人組合は、会社側出席者には会社を代表して問題を解決する交渉及び決定権限が会社から付与されていなかった旨主張する。しかし、認定した事実によれば、会社側出席者が交渉権限を有していたことは明らかであり、組合と会社との間で団交ルールに関する労働協約があるとの疎明もないことを併せ考えると、組合の主張を採用することはできない。したがって、団交出席者についての会社の対応が使用者の誠実団交応諾義務に違反する不誠実な対応に当たるとは認められない。
2 団交における会社側出席者の言動について
(1)便宜供与及び就業規則等の提示に係る要求への対応
 組合は、平成26年10月24日の団交において、組合が同年4月18日の団交で拒否回答があった分会事務所等に係る要求について改めて対応を求めたのに対し、本件代理人らが「すでに回答済みの事項ですので、回答する必要はないです」などと応じた態度が誠実団交応諾義務を果たすものではなかった旨主張する。
 しかし、組合は、同年7月11日の団交で組合が言ったことに対する回答から始めたいとする本件代理人らの言葉に耳を傾けることなく、自己の主張を繰り返し続けたのであって、こうした中で、本件代理人らが分会事務所等について改めて対応を求める組合に対し、上記のような発言をしたことには無理からぬものがあったといえるのであるから、不誠実な対応があったとはいえない。
 また、4月18日の団交において、組合のK執行委員が就業規則を写真に写していいか尋ねたところ、本件代理人らが、就業規則を社外に持ち出されては困るのであり、写せば同じである旨述べたことが認められる。この発言に問題がないとはいえないが、組合がその後の団交において更に質問するなどしたこともなく、この会社の回答を捉まえて、一概に会社の対応が不誠実であったとまではいえない。
(2)C分会長に係る要求への対応
 組合は、会社が、Cの一時金の切下げ及び降格につき、不合理な理由の回答に終始し、誠意ある交渉を行わなかった旨主張する。しかし、会社は上記の理由について一定の根拠を示して具体的に協議を行っていたとみるのが相当であり、また、合意達成の可能性を模索する努力をしていたとみるべきであるから、不誠実団交の不当労働行為があったとはいえない。
(3)26年10月24日団交の一方的退席
 組合は、10月24日の団交において組合が譲歩を求めるやいなや、会社が、必要性がなく重複であるとして交渉を中断し、一方的に退席したことが不誠実団交に当たる旨主張する。しかし、認定した事実によれば、組合は会社の意見に耳を傾けることなく、自らの主張を繰り返し続けた上、新たな要求をしたといえるのであって、上記の組合の主張自体が失当である。
3 会社への連絡等の窓口を代理人弁護士に限るとしたことについて
 使用者が団交に係る権限を弁護士に委任することは何ら違法ではなく、委任を受けた弁護士がその権限の一部として連絡等の窓口となることも、そのこと自体は何ら問題となるわけではない。また、会社側が著しく遅延した団交開催日の指定をしたり、出席人数等の点で組合の不利益になる取扱いをしたと認めるに足る疎明などもないのであるから、連絡等の窓口を代理人弁護士に限るとしたことをもって、会社側が誠実に団交に応じようとの意思に欠けるということもできない。
4 団交期日の設定に係る対応について
 認定した事実によれば、会社は団交開催の候補日として26年9月中の3候補日を提示しているのであるから、会社が一方的に設定した団交日程を組合に強要したとはいい難い。
 また、本件代理人らが組合に対し、同月19日に会社が団交会場で待機していたが、組合側は誰も来ず、組合の不誠実な対応に抗議する旨などを記載した文書を送付した事実が認められるが、団交期日直前になって変更の申入れをした組合にも問題があるのであるから、これを非難する会社の態度も一定程度首肯できる。
 以上のことからすると、団交期日の設定に係る会社の対応が不誠実であったとはいえない。 
掲載文献   

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