労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  都労委平成26年不第111号 
事件番号  都労委平成26年不第111号 
申立人  X1労働組合X2地方本部X3労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成27年11月17日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成24年12月17日、申立人組合は被申立人会社が団交の開催 日を先延ばしにしないこと等を求めて東京都労働委員会に不当労働行為救済申立てを行った(都労委平成24年不第102号事 件。以下「前件」)。
 会社は前件の継続中に、大阪特販支店長であった組合員A2に対し、26年7月31日付けで同支店 長職を解職した上、8月1 日付けで前橋事務所に配転して事務職(課長職)に降格した。また、同じ頃、大阪支店長であった組合員A3及び東京特販支店長 であった組合員A4に対しても同様の人事措置を行った。
 同年8月21日、前件審査手続において組合と会社は和解協定書を締結した。ただし、本件人事措置に関しては、「懸案事項に ついて、今後、解決に向けて労使間で自主的な協議をする」等と定められるにとどまった。
 同年9月9日、組合は会社に対し、前件和解協定書の遵守と本件人事措置の撤回等を要求して団交を申し入れた。10月6日、 A2とA4は会社を被告とする損害賠償等請求訴訟において、自らが会社支店長であることの地位確認請求等を追加する訴えの変 更を申し立てた。 
 本件は、会社が同年10月7日に開催された団交で、A2らは司法の判断を仰ぐ選択をした以上、両名の立場・待遇等に係る団 交や都労委の場での協議に応じかねる旨、組合から申出のあった書類・資料について、裁判で提出する可能性があるので、開示で きない旨などが記載された文書を組合に交付したことが、不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は会社に対し、1 組合員に対する人事措置に係る団交への誠実な対応、2 文書の交 付、3 履行報告を命じ た。 
命令主文  1 被申立人株式会社Yは、申立人X1労働組合X2地方本部X3労 働組合が組合員に対する降格・配転等の 人事措置に係る団体交渉を申し入れた時は、訴訟の係属を 理由としてこれを拒否してはならず、人事措置の理由を説明する等して誠実に対応しなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
記(省略)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  1 正当な理由のない団交拒否に当たるかについて
(1)被申立人会社が団交を拒否したか否か
 認定した事実によれば、会社は司法の場での判断を仰ぎたい旨の希望を表明したものの、資料開示を含めて本件措置等を議題と した団交に応じる意思を有していたものと解することはできず、本件人事措置について団交を拒否したものといえる。
(2)訴訟係属が団交拒否の正当な理由となるか
 訴訟が係属中であっても、組合員の労働条件その他の待遇について労使双方が自主的に団交で解決することは可能であるから、 特別な事情がない限り、組合員との間で訴訟係属中であることは団交拒否の正当な理由にはなり得ない。
 認定した事実によれば、会社が本件団交において、訴えの追加的変更による訴訟係属を理由に、本件人事措置に関して団交での 協議や資料開示を拒否したことに特別な事情があったとは認められない。よって、会社の対応は正当な理由のない団交拒否に当た る。
2 会社の対応が支配介入に当たるかについて
 会社は前件和解協定書において、本件人事措置を含む未解決の懸案事項について、今後、解決に向けて労使間で自主的な協議を する旨協定したにもかかわらず、訴えの追加的変更による訴訟係属を理由として、本件人事措置に関する団交を拒否している。そ して、前件和解協定書が存在するにもかかわらず、正当な理由なく団交を拒否したことは、申立人組合との合意形成を軽視し、組 合を弱体化させることになるものであるから、組合の運営に対する支配介入にも当たる。 
掲載文献   

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