労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  滋労委平成26年(不)第1号  
事件番号  滋労委平成26年(不)第1号  
申立人  X組合 
被申立人  Y会社 
命令年月日  平成27年10月6日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   申立人組合が平成25年年末一時金の支給を求め、25年11月21日付け申入書により被申立人会社に団交を申し入れたところ、会社は同年12月18日付け文書で、年末一時金を支給することはできない旨回答した。組合はこれに納得せず、改めて団交を申し入れたが、26年1月になっても会社側の都合により日程が調整されなかったため、同月28日付けで滋賀県労委にあっせんを申請した。しかし、会社は経営状況からして支給はできないと主張して譲らず、合意に至らなかったため、あっせんは打ち切られた。その後、同年3月から7月にかけて団交が8回開催されたが、合意には至らず、同年末一時金は支給されなかった。
 本件は、上記の団交における会社側出席者の不誠実な交渉態度は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 同労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨   被申立人会社が平成25年12月18日付け文書で、年末一時金を支給しないとの結論のみを示したことは、最初から団交に応じるつもりがないか、あるいは団交を行っても結論を変えるつもりはないことを宣言したとも読み取れるものである。このような態度は、その時点で評価する限り、実質的な団交拒否であって、不当労働行為に該当するものであったといわざる得ない。また、会社の社長Y1が申立人組合を感情的に非難するかのような発言をしばしば行い、これが交渉を紛糾させる原因の1つとなっており、組合が会社の交渉態度が不誠実であると主張するのも無理のないところである。
 しかし、会社は当委員会のあっせん手続の後は、通常必要と考えられる程度の資料に基づき、財務状況について説明を行い、あるいは行おうとし、全体としては協議を継続する努力をしているものと認められ、Y1の個々の発言のみをとらえて交渉全体が不誠実であったと評価することはできない。また、会社が虚偽の事実を述べて、交渉を有利に運ぼうとしたともいえない。
 このように、本件では、当初の会社の交渉態度は不誠実なものであったといわざるを得ないが、その後は関係者の努力もあって、全体として誠実なものに変化してきたといえる。結果的に、25年の年末一時金に関する団交は妥結していないが、その原因は会社の交渉態度が不誠実なためではなく、年末一時金の財源をめぐる交渉が行き詰まっているためである。
 したがって、会社の交渉態度が不誠実であるとする組合の主張には理由がない。 
掲載文献   

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