概要情報
事件名 |
大阪府労委平成26年(不)第17号 |
事件番号 |
大阪府労委平成26年(不)第17号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人Y |
命令年月日 |
平成27年12月11日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人が運営するA病院の従業員により組織された申立人組合と法人との団交において、平成24年5月以降、退職金制度の改定についての協議が行われていたところ、25年12月24日の団交で、組合からの追加の資料要求に対し、法人が、同年10月23日に組合に交付した資料が最後である旨回答したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
認定した事実によれば、被申立人法人は平成24年5月8日の団交及びその後の団交において、退職金制度の改定理由や退職金の積立不足に関する監事監査の指摘について説明し、申立人組合の質問に対して回答するとともに、同年11月13日付け回答書により、退職金関係の病院負担額や積立不足額、損益状況等を示している。また、組合が退職金制度の改定に反対である旨、組合は組合員全員に同意書を提出しないよう指示する旨などを表明したのに対し、法人は団交において法人としての回答とその理由を述べ、文書による回答を行ったほか、25年8月6日及び同年10月23日に資料を交付している。したがって、法人は同年12月24日の団交に至るまでに、組合の要求の具体性や追及の程度に応じた回答をなし、その具体的根拠について説明したり、必要な資料を提示したりしているといえる。
一方、組合は、上記の資料の交付を受けた後も、同年11月9日付け通知書により追加資料の提出を求めている。その記載によれば、組合はA病院の財務状況が逼迫しているかどうかを検証するために追加資料の提出を求めているのであるが、法人は、退職金制度の改定の理由については一貫して退職金の積立不足と説明しているのであって、同病院の財務状況の逼迫であるとの説明をしたと認めるに足る疎明はない。そうであれば、組合は追加資料がなお必要であるとする具体的な理由を示しているとはいえない。
また、組合は、同年12月24日の団交において法人が組合の上記通知書及び追加質問事項に対し、同年10月23日に交付した資料が最後である旨回答した後においても、法人に対し、追加資料がなお必要であるとする具体的な理由を説明したとする疎明はない。
以上のとおりであるから、同年12月24日の団交において法人がA病院の財務状況に係る追加の資料要求について、同年10月23日に交付した資料が最後である旨回答したことは、不誠実団交に当たるとはいえない。 |
掲載文献 |
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