事件名 |
大阪府労委平成26年(不)第56号 |
事件番号 |
大阪府労委平成26年(不)第56号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
株式会社Y |
命令年月日 |
平成27年11月20日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が、一旦約束した団交の開催日をキャンセルし、ま
た、開催場所について条件を付するなどして開催を引き延ばし、団交に応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てが
あった事件である。
大阪府労委は会社に対し、誠実団交応諾及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成26年8月8日付けで申し入れた団体
交渉に、大阪市内において、誠実に応じなければならない。
2 非申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
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判断の要旨 |
被申立人会社は、①団交が開催できていない理由は、申立人組合と
会社との間で日時の都合が合わなかったことに加え、一方的に自らの都合のよい大阪のみでの開催に固執した組合側の交渉態度及
び組合の法適格性を確認するための会社の回答要望に組合が回答しなかったことによるもので、会社は団交を拒否してはいない、
②組合規約を出すことを開催条件としていない、③団交の場所を限定していない旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、会社は自らが一旦提案した団交開催候補日を自らの都合で一方的に取り消し、その後、組合の
法適合性及び自らの団交応諾義務に係る独自の主張を前提に、団交に先立って組合に対し、組合の団交権及び会社の団交応諾義務
の根拠、組合役員と会社との関係、組合と分会との関係等についての説明並びに組合規約及び組合員名簿の開示を求めるなどの根
拠のない要求をし、しかも組合がこれらの要求に対する一定の回答をした後も、組合の対応が不誠実であるとして、本件申立てに
至るまで、同様の要求を繰り返し行っていることが認められる。
このことに、後記のとおり、会社が合理的理由もなく、少なくとも1回の団交を東京で開催することを団交開催の条件としてい
ることを併せ考えると、会社のこうした姿勢は、団交開催の環境を整えるためのものであったというよりはむしろ、組合が回答し
なければ、それを理由に団交を拒否し、組合が一定の回答をすると、更に同様の要求を繰り返すことにより、団交開催を回避しよ
うとしていたものとみるのが相当であり、これらの会社の対応に正当な理由はなく、会社の上記①及び②の主張は採用できない。
また、上記③の主張については、組合員らの就業場所も組合の主たる事務所も大阪市内に所在していることが認められ、組合と
会社との労使関係は同市内で展開されているとみるのが相当であり、また、大阪市に事務所を置く労働組合が、同市内に勤務する
組合員の問題に関して、会社の本社所在地である東京まで出向いて団交を行わなければならないということになれば、組合及び組
合員の過重な負担となることは容易に推認される。そうすると、本件に関する限り、団交は大阪市内で開催するのが適切というべ
きである。
以上のことからすると、本件団交申入れについて、少なくとも1回の団交を東京で開催することを団交開催の条件とした会社の
対応には合理的理由がなく、会社の主張は採用できない。
以上を併せ考えると、本件団交申入れに対する会社の対応に正当な理由があるとはいえない。したがって、会社は正当な理由な
く団交を拒否したものというほかなく、かかる会社の対応は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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