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概要情報
事件名  岐阜県労委平成26年(不)第1号 
事件番号  岐阜県労委平成26年(不)第1号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成27年11月10日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社が会社の従業員である申立人組合の執行委員長X1に対して行った5回の懲戒処分及び降格、②会社が同じく従業員である組合の書記次長X2に対して行った2回の懲戒処分、③会社がX1に対する懲戒処分問題を議題とする団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 岐阜県労委は会社に対し、上記①の懲戒処分のうち平成25年7月20日付けの昇給停止処分がなかったものとして取り扱うこと等を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対して平成25年7月20日付けでなされた平成25年8月から平成26年3月までの8か月間の昇給停止処分がなかったものとして取り扱うとともに、平成25年8月から平成26年3月までの間に同人が得たであろう昇給分相当額を支払わなければならない。
2 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 申立人組合の執行委員長X1に対して行った5回の懲戒処分及び降格について
(1)平成25年6月11日付け半日分の減給処分2回分
 本件各減給処分の背景に組合嫌悪が影響した可能性がなかったとまではいえないが、X1によるチョコレート流出事故も無許可残業も就業規則上の懲戒事由に該当するものと認められ、前者についてはX1と同様に過去にけん責処分を受けている非組合員に対しても半日又は1日分の減給処分を行った事例が存在すること等からすると、過去に2回けん責処分を受けているX1に対してけん責より一段重い半日分の減給処分を行ったとしても、非組合員に比べ殊更に重い処分を科したものとは認められない。したがって、いずれの処分も、仮にX1が組合員でなければなされなかったであろうとまでは認められないから、組合員であることの「故をもって」なされたものとは認められない。
(2)同年7月20日付け8か月間の昇給停止処分
 ①当時の状況からして、X1に対して昇給停止を内容とする懲戒処分を科することは組合活動に影響を与えることが明らかであり、会社もそのことを当然に予想し得たと認められること、②X1による職場での私語は非違行為としては比較的軽微なものであり、これに対して8か月間もの昇給停止処分を科することは異例であると思われること、③当該私語によって被申立人会社の業務に現実の支障を生じたとは認められないこと、④過去の事例をみると、私語によって懲戒処分を受けているのはX1ら2名の組合員だけであり、非組合員については懲戒委員会さえ開かれず、口頭注意で終わっていると推認できること等からすると、本件昇給停止処分については、仮にX1が組合員でなかったならば、口頭注意又はけん責か、重くとも減給処分で終わっていたはずであると認められる。したがって、本件昇給停止処分は、同人が組合員であることの「故をもって」なされたものと認めざるを得ず、労組法7条1号の不利益取扱いに該当する。
(3)その他の処分
 いずれの処分についても、非組合員と比べ殊更に重い処分を科したものとは認められないこと等から、仮にX1が組合員でなければ当該処分がなされなかったであろうとは認められない。したがって、これらの処分はいずれも同人が組合員であることの「故をもって」なされたものとは認められない。
(4)同年8月8日付け係長補佐級から主任への降格
 X1については、組合結成以前から生産工程におけるミスを繰り返していたものと認められること等からすると、仮に同人が非組合員であったとしても、購買課に配置換えすることになった可能性は十分にあったと認められる。そして、降格も役職手当の減額も購買課への配置換えに伴う必然的な結果であったと認められる。したがって、本件降格が組合員であることの「故をもって」なされたものと認めるに足りない。
2 組合の書記次長X2に対して行った2回の懲戒処分について
 いずれの処分についても、その理由とされた非違行為の態様やX2の過去の処分歴に照らして社会通念上の相当性を欠くとは認められず、非組合員の事例との比較検討においても特に重いとは認められない。したがって、仮に同人が組合員ではなかったとしても同様に当該処分が科された可能性は十分にあるというべきであり、組合員であることの「故をもって」なされたものとは認められない。
3 X1に対する懲戒処分問題を議題とする団交の拒否について
 組合からの懲戒処分撤回申入れに対する会社の回答や団交における会社側の発言については、あたかもX1の懲戒問題が義務的団交事項にはならないとの認識を表明しているようにもみえる。しかし、団交の経緯をみると、同人の懲戒処分の撤回に関する協議は実際に行われており、会社は、団交を重ねても撤回する可能性がないことを示唆しつつも、組合側の質問に対して事実関係の経緯を可能な範囲内で説明しており、組合側の納得を得るために誠意をもって努力しているものと認めるのが相当である。また、X1の懲戒処分の撤回は必ずしも中心的な団交事項にはなっていなかったと認められ、時間切れになったり、組合側からの質問がないまま終了し、協議がなされなかったことも少なくないが、もとよりこれらは会社側の団交拒否によるものとは認められない。
 したがって、会社が上記の団交を拒否したものとは認められない。 
掲載文献   

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