概要情報
事件名 |
都労委平成26年不第63号 |
事件番号 |
都労委平成26年不第63号 |
申立人 |
Xユニオン |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成27年10月6日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社の従業員A2は、会社の持株会社である申立外会社に
出向して勤務していたところ、会社から別の関連会社Cへの異動(出向)の内示を受けた。A2は、現在の部署以外の新しい職場
環境等には耐えられない旨記載された診断書を会社に提出し、その後、申立外組合に加入した。暫くしてA2は自宅療養の必要が
ある旨の診断書を会社に提出し、いったん欠勤に入ったが、2か月余りが経過した時点で、復職可能と判断する旨記載された診断
書を会社に提出した。会社と同組合との間で同人の復職に係る団交等が行われたが、交渉はまとまらなかった。A2は、同組合を
脱退し、申立人組合に加入し、組合は会社との団交で同人の復帰職場として原職かそれに類する場所を要求した。後日、会社は、
復職職場を関連会社D(出向)とする復職案を示した。
本件は、上記復職案に係る団交における会社の対応が不誠実であったか否かが争われた事案である。
東京都労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
本件団交は、被申立人会社が組合員A2の復職案を提示してから最
初の団交であり、申立人組合の質問に対し、会社が説明や回答を行ったものであって、回答拒否や交渉の打切りがあったわけでは
なく、むしろ、当委員会によるあっせんの期日を見据えて、組合が会社本社等への復職を検討するよう会社に要求し、会社が回答
を約束して交渉が終了している。このような状況をみると、まだ交渉の中途段階であり、特に交渉が停滞したり紛糾したりした事
情も窺えず、会社の対応が不誠実であったということは困難である。
組合は、本件団交やそれに至る一連の経過における会社の回答が根拠に基づかない不誠実なものであったと主張するが、会社は
組合の要求する職場復帰には応じなかったものの、会社の提示した復職案について、それ相応の説明や回答を行っており、これら
が根拠のない不誠実なものということはできない。
また、組合は、会社が自らの復職案に固執し、原職又は会社本社等への復帰を求める組合の要求を拒否したのであるから、合意
達成の努力を怠っていたとも主張する。
しかし、会社の復職案が根拠のない不誠実なものであるとはいえないし、会社は本件団交における組合の指摘について検討して
回答することも約束している。そして、本件団交の後には、A2を会社の本社等に復帰させるという組合の要求には応じなかった
ものの、定時出社・定時退社を基本とすることや、会社の人事制度を整備すること等を回答し、また、出向規程を制定する方針を
示して組合に協議を申し入れるなど、本件団交における組合の主張や指摘を踏まえた対応を行っている。これらの対応を考慮すれ
ば、会社が合意達成の努力を怠っていたということはできない。
以上のとおりであるから、本件団交における会社の対応が不誠実であったということはできない。 |
掲載文献 |
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