労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成26年(不)第46号 
事件番号  大阪府労委平成26年(不)第46号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y府 
命令年月日  平成27年10月20日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人府が、組合員である非常勤講師等の雇止め反対及び雇用継続に関する団交を、個別の任用に関する要求は交渉事項ではないとして拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は府に対し、文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
  X労働組合
   執行委員長 D 様
Y府
知事 E
  当府が、貴組合が平成26年2月14日付けで申し入れた団体交渉のうち、当府の公立学校非常勤講師である組合員の雇止め反対及び雇用継続に関する団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

2 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員Cに係る団交申入れについて
 組合員Cについては本件団交申入れ時点において被申立人府の教育委員会が非常勤講師として任命していたと認めるに足る事実の疎明がなかったことから、府は同人の労組法上の使用者に当たらないと解するのが相当である。よって、組合員Cに係る問題についての団交申入れの部分に係る申立ては棄却する。
2 組合員A及び同Bに係る団交申入れについて
 認定した事実によれば、府において非常勤講師の任用を更新するかどうかは任命権者の裁量に委ねられていると解することができる。このような法令による規制がなく任命権者の裁量に委ねられている部分について、これに労働条件・待遇にかかわる事項が含まれている場合には、当該事項は団交に委ねても差し支えない事項であるとみることができる。
 本件団交申入れに係る非常勤講師についてみると、任用は形式的には新たな任用手続によるものではあるが、講師希望者登録制度における任用の実態としては、繰返しの任用によって実質的に勤務が継続する中で職種、校種及び勤務地区等の任用条件の変更又は前の任用期間における任用の継続であったとみるのが相当であり、講師希望者登録制度によって任用が繰り返しなされて実質的に勤務が継続することに対する合理的な期待を生じさせていたというべきである。よって、非常勤講師について「雇い止めを行わず、雇用を継続すること」という団交事項は、任用の継続を前提とする勤務条件の変更又は継続を求めるものであるということができ、労働条件にかかわる事項にほかならないから、義務的団交事項に該当する。
 したがって、本件団交申入れ事項は義務的団交事項であるから、府は組合員である非常勤講師に係る雇止め反対及び雇用継続を交渉事項として申立人組合が団交を申し入れたときは、正当な理由がない限り、これを拒否できないというべきである。
 府は、地公法上の職員団体が特定の者を非常勤講師に任用することを要求事項とする交渉を求めることは、同法55条3項の適用又は同法の法理の類推適用により、当局と職員団体との間で交渉事項とすることのできない管理運営事項に関して交渉を求めるものとして同法の規定に反する不適法な交渉の申入れとなる旨主張する。しかし、本件団交申入れ事項が労働条件にかかわる事項として義務的団交事項に該当することは上記判断のとおりであるから、府の主張は採用できない。
 以上のことからすると、府が本件団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとはいえないから、府の対応は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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