労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成26年(不)第47号 
事件番号  大阪府労委平成26年(不)第47号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y府 
命令年月日  平成27年10月20日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人府が平成25年度の定期交渉に係る団交を、申立人組合が交渉参加者名簿を事前に提出しないことを理由に拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は府に対し、文書手交を命じた。 
命令主文   被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
Y府
知事 B
  当府が、貴組合が平成25年10月29日付けで申し入れた団体交渉のうち、地方公務員法第3条第3項第3号で定める特別職の大阪府の公立学校非常勤講師である貴組合の組合員の労働条件に関する団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判断の要旨  1 本件団交申入れは労組法に基づく団交申入れといえるかについて
 被申立人府は、府教育委員会(以下「府教委」)と申立人組合とが従前、行っていた交渉は、法的性格としても、交渉経過からみても労組法に基づく団交ではなく、地公法の規定に基づく地方公共団体の当局と職員団体との交渉と位置づけられるものである旨主張する。
 しかし、本件団交申入れに係る要求事項には非常勤講師等の労組法適用者に係る要求事項が含まれていることが認められることからすると、本件団交申入れは当該申入れ事項に関する限り、労組法上の労働組合の活動とみなすべきである。したがって、府の上記主張は採用できない。
2 本件団交申入れに係る折衝において府教委が交渉参加者名簿の事前提出を求め、組合がこれに同意しなかったことから、定期交渉が開催されなかったことは不当労働行為に当たるといえるかについて
 府は、①府教委が組合に対し、本件定期交渉に関する交渉参加者名簿の事前の提出を求めたことは、地公法及び平成14年11月22日付け府教育長通知に基づく正当な行為である旨、②定期交渉は、地公法に基づくものであることから、府教委は予備交渉の開催を呼びかけたものであるが、交渉参加者名簿の事前提出を求めたことを不服とした組合が予備交渉を打ち切ったのであって、その結果、本交渉に入れなかったとしても、府教委の行為は違法ではない旨主張する。
 しかし、交渉参加者名簿の事前提出は、労組法上、これを求める規定はなく、地公法上もこれを要請する直接の規定はない。前記府教育長通知についても、職免申請等の関係から事前提出が求められているとしても、交渉そのものとの関係における必要性から直接、要請されているというものではない。府は、交渉参加者名簿の提出の根拠について、特定独立行政法人とそれに勤務する一般職の国家公務員が組織する労働組合との間の労使関係に関する法令の規定を類推適用することができるなどと主張するが、かかる主張は採用できない。したがって、府の上記①の主張は認めることができない。
 次に、従前の定期交渉において交渉参加者名簿の取扱いがどのようになされていたかについてみると、平成21年度までにおいては組合が事後に地公法適用職員など一部の交渉参加者の名簿を提出していたこと、府教委はこのような取扱いがなされていたにもかかわらず、交渉に応じていたこと、府教委は22年度以降、かかる取扱いを変更して組合に交渉参加者名簿の事前提出を求め、それがなされなかったことから、定期交渉が開催されなかったことが認められる。また、本件団交申入れに対し、府教委が交渉参加者名簿の事前提出を求めたことについて事前折衝でどのようなやり取りがなされたかについてみると、自らを混合組合であるとする組合に対し、府が交渉参加者名簿の事前提出を求めることに固執したといえる。したがって、本件団交が開催されなかったことについて、府教委に正当な理由があるということはできず、このほかに正当な理由があると認めるに足る疎明はない。よって、府の上記②の主張も採用できない。
 以上のとおりであるから、本件団交申入れのうち、労組法適用者に関する事項に係る申入れについての府の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たり、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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