労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  テクノウェーブ 
事件番号  神労委平成25年(不)第12号 
申立人  全国一般労働組合全国協議会神奈川 
被申立人  テクノウェーブ株式会社 
命令年月日  平成27年7月15日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が平成24年年末一時金及び平成25年春闘要求を交渉事項とする団交に応じなかったことは不当労働行為であるとして救済申立てがなされ、さらに、上記の事項及び平成25年夏季一時金等を交渉事項とする団交における会社の対応並びに会社が団交の継続に応じなかったことは不当労働行為であるとして追加申立てがなされた事件である。
 神奈川県労委は会社に対し、上記の交渉事項に係る団交申入れに誠意をもって対応すること及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、平成24年年末一時金、平成25年春闘要求、平成25年夏季一時金等を交渉事項とする申立人による団体交渉の申入れについて、誠意をもって対応しなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨  1 2012年秋季年末要求書の提出から本件当初申立てまでの期間における対応について
 認定した事実によれば、被申立人会社は第1回から第5回までの団交においては誠意をもって交渉に当たっていたことが窺える。
 これに対し、第6回団交においては申立人組合の質問に回答せず、第7回団交においても、回答書を提出したものの、その内容に関する組合の質問に回答したり、説明したりしようとしなかった。これは、団交を拒否したに等しい。
 また、会社は第7回団交において、平成24年年末一時金の支給時期が迫っているにもかかわらず、組合の質問に対する回答の期限を明示しようとせず、次回の団交の日程調整にも応じなかった。加えて、組合の申請した一時金についてのあっせんにも応じない中で、同一時金を当初の方針どおり支給した後、組合の団交要求を6回にわたって受けながら、文書回答を繰り返すにとどまり、本件当初申立てに至るまで団交に応じなかった。このような会社の対応は、合意形成を目指す組合との話合いを拒絶するという会社の姿勢を顕著に示すものであり、団交の拒否に当たる。
2 本件当初申立てから追加申立てまでの間における対応について
本件当初申立て後になると、会社は当委員会に審査手続が係属したこともあり、組合の団交申入れから約1か月後に第8回団交に応じたものの、それまでの弁護士に代えて執行役員Y2を交渉担当者として出席させた上で、同人による調査に時間を要することを理由に組合の要求事項に対する回答を留保した。交渉の議題のうち平成24年年末一時金及び平成25年春闘要求に関しては準備する時間が十分にあったにもかかわらず、会社は交渉権限を有しないY2による調査に時間を要することを理由に回答をしていない。このような対応は、団交の席に着くという形を整えたにすぎず、議題について進んで討議をすることにより合意を形成しようとする姿勢が欠如しており、不誠実な交渉態度といわざるを得ない。
 また、会社は第10回団交において、貸借対照表の提示や一時金の支給基準についての説明といった組合の要求のいずれについても、「機密事項」という共通の理由によってそれ以上の説明や資料の提示をしておらず、それらの事項を機密扱いとしなければならない理由の説明もしていない。このような会社の対応は、組合の理解を得られるよう努めているとはいえず、不誠実な交渉態度である。
 さらに、第9回団交において会社の代表取締役Y1は、平成25年年末一時金も支給しないことを決定しており、これ以上団交を継続する意味はない旨表明し、その後、会社は第10回団交に応じたものの、その2日後に組合に送付した文書において、「説明を尽くしたこと以外で不明点や他の要求事項があれば団体交渉に応じます」と述べた上で、Y1の上記表明どおり、同一時金を支給せず、本件追加申立てに至るまで団交に応じていない。このような会社の対応は、「説明を尽くした」と一方的に宣言し、組合の求める団交の継続を拒んだものであり、団交の拒否に当たる。
 以上で述べたような会社の対応は、全体としてみれば、正当な理由のない団交拒否であると同時に、組合の存在を軽視し、その活動を阻害するおそれのあるものであることから、組合の運営に対する支配介入にも当たると判断する。 
掲載文献   

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