労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東豊商事 
事件番号  都労委平成21年不第116号・23年不第55号 
申立人  一般合同労働組合東京西部ユニオン、同鈴木コンクリート工業分会 
被申立人  有限会社東豊商事 
命令年月日  平成27年7月7日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社と有期雇用契約を締結し、コンクリートミキサー運転手として勤務していたX1ら10名は、平成21年7月、申立人組合の分会を結成し、職場環境の改善等を求めて会社に団交を申し入れた。本件は、その後、会社が行った次の行為が不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。①同年9月及び10月の団交申入れ及びその後の団交に係る対応、②組合員X4に対する同年11月10日付け雇止め、③組合員X3に対する同年9月30日付け戒告処分、④組合が行ったストライキに関する組合の執行委員長X1、分会長X2ら組合員5名に対する同年10月6日付け戒告処分、⑤同年11月頃の会社社長らによる組合活動に関する言動、⑥X2に対する22年8月31日付け戒告処分、⑦X1に対する同年10月8日付け戒告処分、⑧残業時間等に関する組合員と非組合員との取扱いの相違、⑨安全靴貸与に関する労働協約締結要求の拒否、⑩組合が行ったストライキに関するX1ら組合員5名に対する出勤停止処分(23年10月中)、⑪組合員X7に対する23年11月14日付け解雇、⑫X7に対する同年10月15日付け自宅待機命令、⑬24年1月11日付け団交申入れに係る対応、⑭同年3月及び7月の団交における対応。
 東京都労委は会社に対し、1 上記②の雇止めをなかったものとして取り扱うこと等、2 X1及びX2に対する上記④の戒告処分をなかったものとして取り扱うこと、3 上記⑦の戒告処分をなかったものとして取り扱うこと、4 上記⑩の出勤停止処分をなかったものとして取り扱うこと等、5 文書の交付・掲示、6 履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人東豊商事は、申立人一般合同労働組合東京西部ユニオン及び同一般合同労働組合東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の組合員X4に対する平成21年11月10日付雇止めをなかったものとし、翌日から23年8月16日まで、従前と同様の雇用契約を同人と締結したものとして取り扱い、同人の相続人に対して、この間の賃金相当額を支払わなければならない。
 ただし、この間にX4が他において得た賃金があれば、相当する期間の賃金相当額の4割を限度にこれを控除するものとする。
2 被申立人会社は、申立人組合らの組合員X1及び同X2に対する21年10月6日付けの各戒告処分をなかったものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合らの組合員X1に対する22年10月8日付けの戒告処分をなかったものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人会社は、申立人組合らの組合員X1及び同X2に対する23年10月13日付け、同X5に対する同月17日付け、同X3及び同X6に対する同月26日付けの各出勤停止処分をなかったものとして取り扱い、同処分がなければ同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
5 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合らに交付するとともに、同内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、契約社員を含む会社従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
記(省略)
6 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
7 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成21年9月及び10月の団交申入れ及びその後の団交に係る対応について
 認定した事実によれば、被申立人会社は第3回団交の申入れについて、申立人組合側出席者を8名以下とすることを要請した。しかし、第2回団交は平穏に実施されたとは認め難く、上記の会社の要請が合理性を欠くものとまでいうことはできない。また、当該団交について、組合の分会員全員の出席を要求することに合理性があるとは認められない。したがって、会社が、組合が上記要請に応じないことを理由に団交を行わなかったことは、正当な理由のない団交拒否に該当しない。
 組合は、第3回以降の団交に会社の社長Y1が出席しない旨を会社が明言したことが誠実交渉義務に反するなどと主張するが、当該団交において会社側出席者が交渉権限を有していなかったといえる事情は認められないこと等からすると、Y1が出席しなかったことが誠実交渉義務に反するとはいえない。
2 組合員X4に対する21年11月10日付け雇止めについて
 会社が主張するX4の雇止めの事由は不自然かつ不合理なものといわざるを得ないこと等からすると、当該雇止めは分会結成以降の活発な活動により組合と厳しく対立していた会社が、同人が組合員であることを理由として行った不利益取扱いに該当するとともに、社内における組合の影響力を減殺させようとした支配介入にも該当するものと認められる。
3 組合員X3に対する21年9月30日付け戒告処分について
 X3の会社に対する発言は、組合員としての発言又は組合活動の一環としてなされたものとは認められない。当該発言は不穏当なものといわざるを得ず、会社が処分を行うことが不自然又は不合理であるとはいえない。したがって、同人に対する戒告処分は、組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入であるとはいえない。
4 組合が行ったストライキに係る21年10月6日付け戒告処分について
 21年9月9日のストライキは、会社が組合員X8に当日乗換えを指示したことに抗議すること等を目的として行われたものと認められるところ、その目的、手続、態様に照らして正当なものであったといえる。会社は、当該ストライキが正当な同盟罷業に当たらない理由として、乗換え問題が団交での協議の対象になっていなかった旨、組合内で直接無記名投票によるスト権確立がなされたとは考えられない旨などを主張するが、いずれも採用することができない。よって、当該ストライキに係る戒告処分は、X1ら組合員5名がストライキに参加したことを理由とする不利益取扱いであり、また、組合の運営に対する支配介入にも該当する。
5 21年11月頃のY1らによる組合活動に関する言動について
 組合は、Y1が当時の分会長らに対して組合からの離脱を促す発言を行った旨、会社が分会員を呼び出して脱退の確約を迫り、「脱退誓約書」を提出させた旨などを主張するが、これらの事実は認められない。なお、組合を脱退したことを申し出た分会員に対し、会社がその旨を書面で明らかにするよう要請したことが認められるが、これは脱退の事実を会社が把握するためのものというべきであり、組合弱体化を企図してなされたものと評価することはできない。よって、組合が主張する会社の上記行為が組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
6 組合員X2に対する22年8月31日付け戒告処分について
 X2に対する戒告処分は、同人が業務遂行中、故意に会社の指示に反する方法によって無線連絡に応答したこと及び同僚を非難する発言をしたことを問題視し、職場秩序を維持する観点から行ったものと認められるから、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
7 組合員X1に対する22年10月8日付け戒告処分について
 X1は当時、組合の執行委員長と分会書記長を兼務しており、組合の活動の中心人物であったことが認められる。会社は、処分理由として、X1が就業時間内に派遣従業員に対し、集会への参加勧誘及びチケットの販売を行ったことを主張するが、就業時間内になされたと認めるに足りる具体的事実の疎明はなく、確かな根拠がないままに同人を処分したものといわざるを得ない。当該処分は、組合と厳しく対立していた会社が、同人が組合の活動の中心人物であることを理由として行った不利益取扱いに該当するとともに、組合の運営に対する支配介入にも該当するものと認められる。
8 残業時間等に関する組合員と非組合員との取扱いの相違について
 組合は、会社が組合員に残業を行わせないようにし、会社都合休み、日曜・祭日出勤等を意図的に操作することにより、残業手当等の支給について非組合員と差別している旨主張する。しかし、分会結成前後の比較において組合員に対する取扱いに差異が生じているか否かは明らかではない。また、組合員の中には日曜・祭日出勤には応じない旨を明言していた者がいることなどが認められ、その他、残業手当の支給に関する組合員と非組合員との差異について不当労働行為意思に基づくものと認めるに足りる具体的事実の疎明はない。したがって、会社による残業手当の取扱いについて、組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
9 安全靴貸与に関する労働協約締結要求の拒否について
 安全靴貸与に関して労使間において具体的内容について交渉がなされ、その結果、何らかの意思の合意があったと認めることはできないから、合意内容の労働協約締結を拒否することが誠実交渉義務に反するとの組合の主張は採用できない。また、会社は団交において、組合の要求だけではなく、他の従業員の声なども勘案して安全靴貸与を決定した旨回答しているが、他の従業員の要望を理由として貸与することが支配介入であるとの組合の主張は採用することができない。以上から、会社が上記労働協約締結要求を拒否したことが、正当な理由のない団体交渉(注:原文のまま)又は組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
10 ストライキに係る出勤停止処分について
 23年9月27日のストライキは、X4の雇止めの撤回や会社による精皆勤手当廃止の即時撤回を求めて行われたものと認められるところ、目的や手続において正当なものというべきであり、また、その態様も労務の不提供にとどまり、それ以上の業務阻害をもたらすものであったとの事情も認められないことから、態様の面においても正当であり、全体として正当な争議行為に当たるものというべきである。したがって、これに係る出勤停止処分は、X1ら組合員5名がストライキに参加したことを理由とする不利益取扱いに該当するとともに、組合の運営に対する支配介入にも該当する。
11 組合員X7に対する23年11月14日付け解雇について
 会社がX7の解雇を決定した段階において同人が組合員であると認識していた、あるいは組合に加入しようとしていたと認識していたとは認められない。加えて、同人の就労状況等を考慮すれば、同人の運転手としての資質に疑義を認めざるを得ない等とする会社の解雇理由は一応首肯することができ、合理性を欠くとまではいえない。したがって、同人の解雇について組合員であること等を理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
12 X7に対する23年10月15日付け自宅待機命令について
 自宅待機命令は会社が、X7が組合員であることを認識した後に発せられたものであるが、前記11のとおり、本件X7の解雇については合理性を欠くものとは認められず、このため、会社が同人を解雇の日までの間、自宅待機としたことが不自然であるとはいえない。したがって、当該自宅待機命令について、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に該当するとはいえない。
13 24年1月11日付け団交申入れに係る対応について
 組合がX1らの解雇撤回その他の要求に関する団交を申し入れたのに対し、会社がX1ら3名に係る裁判所への仮処分申請(解雇予告効力を停止する旨の仮処分の申立て)の結果を受けて次回日程を調整したい旨回答したことが認められる。しかし、裁判所においてX1ら3名に係る仮処分手続が係争中であることは団交を拒む正当な理由とは認められない。また、組合は他の事項についても団交を求めているところ、会社の主張する理由はこれらの事項についての団交を拒む正当な理由とはなり得ない。したがって、会社の対応は正当な理由のない団交拒否に該当する。
14 24年3月及び7月の団交における対応について
 第12回及び第13回の団交においてY1が出席しなければ交渉が進展しなかったといえる事情も認められないことから、同人が出席しなかったことが不誠実な対応であるとまでいうことはできない。また、組合の指摘する会社代理人弁護士の発言をもって会社の対応が不誠実であるとはいえない。さらに、会社は組合の要求に対して譲歩や合意を強制されるものではないから、組合が議題とした要求を会社が全て拒否したこと等が不誠実であるとする組合の主張は採用することができない。以上から、会社の対応が正当な理由のない団交拒否に該当するとはいえない。 
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