労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大泉町 
事件番号  群労委平成25年(不)第2号 
申立人  群馬県自治体一般労働組合 
被申立人  大泉町 
命令年月日  平成27年7月29日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   組合員X2は、平成22年10月1日、期間を1年と定めて被申立人町の臨時職員として任用され、その後、任用更新が2回行われたが、25年8月29日、町から任期満了により退職となる旨通告された。
 本件は、①町が25年9月30日をもってX2を雇止めとしたこと、②同年8月19日の団交において町が同人の雇止めについて何ら言及しなかったこと、③上記雇止めの通告の撤回を求めて行われた同年9月12日の団交における町の対応、④同人の雇止めの撤回に関して行われた同年12月18日の団交における町の対応、⑤26年1月24日付け及び2月5日付けの団交申入れに町が応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 群馬県労委は町に対し、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人大泉町は、速やかに次の文書を申立人に手交しなければならない。
年  月  日
 群馬県自治体一般労働組合
  執行委員長 X1 様
大泉町
町長 Y1
   大泉町が行った下記の行為は、群馬県労働委員会において、労働組合法第7条 第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
                          記
 1 平成25年9月12日及び同年12月18日に開催された団体交渉において、組合員X2の任用拒否に関する交渉に誠実に応じなかったこと。
 2 貴組合から平成26年1月24日付け及び同年2月5日付けで申入れのあった団体交渉を正当な理由なく拒否したこと。

2 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成25年9月30日をもって組合員X2を雇止めとしたことについて
 X2と被申立人町との雇用関係は任用という公法上の関係であり、同人の任用は1年間の期間を定められていたものの、同人が25年10月の再任用に一定の期待を有していたとしても不合理とはいえず、本件雇止めは不利益な取扱いに当たる。
 本件雇止め前の労使関係についてみると、町は団交における申立人組合の要求に対し、対応できるものについては対応しており、団交等の場で組合を嫌悪するような態度や発言も見受けられないことから、労使間に厳しい対立が存在していたとみることはできない。また、組合は、町教育委員会の学校教育課長Y2の言動が組合嫌悪を示すものであったと主張するが、当該言動はX2の勤務態度に対応したものであって、組合活動とは関係がないと判断できる。さらに、X2だけが業務予定・結果表の作成を命じられていたことをもって組合活動に対する報復行為であるとはいえない。以上により、本件雇止めに関し、不当労働行為意思の存在を窺わせる事実を認めることはできない。
 したがって、本件雇止めは、労組法7条1号の不利益取扱いであるとはいえず、また、組合の弱体化を企図したものともいえないので、同条3号の組合の運営に対する支配介入にも当たらない。
2 25年8月19日の団交において町がX2の雇止めについて何ら言及しなかったことについて
 25年8月19日の団交時には、例年と違い、臨時職員任用の新規希望者がおり、X2の任用が更新されない可能性があったことを町の団交担当者は認識していたといえる。しかし、そのことを団交で組合に伝える責務が町にあるとは認められず、また、町の対応が労働組合の存在を無視し、団交を軽視するものであるとも認められないので、上記団交において町が本件雇止めについて何ら言及しなかったことは労組法7条2号の不当労働行為には当たらない。
3 25年9月12日の団交における町の対応について
 25年8月29日にY2からX2に対して行われた通告は、同年10月からの任用更新をしない旨の通告としての実質を有していたものといえる。そうすると、町は更新をしないこととした理由を説明すべきであるところ、任期満了であること及び他にも臨時職員の希望者が出てきたことの説明しかしていないのであるから、同年9月12日の団交において町が上記のもの以外の雇止め理由について何ら言及しなかったことは不誠実な対応であったといわざるを得ない。
4 25年12月18日の団交における町の対応について
 25年11月19日、X2が本件雇止め前に勤務していたA小学校を訪問し、当委員会に提出するための資料を収集していたことが認められるが、同人が自己に有利な証拠を不正に取得しようとした意図は窺えず、また、当該訪問や資料の請求が学校関係者に圧力を加えるものであったとまではいえない。
 同年12月18日の団交において町が上記のX2の行為について、当該訪問は住居不法侵入に当たる可能性があるなどと述べ、抗議したのに対し、組合は今後は同人にA小学校訪問はさせない、資料要求は労働委員会を通じて行うと回答した。しかし、町はその後も組合の当該訪問の違法性の認識などに関する質問を続け、そのやり取りに相当な時間を費やしていることが窺える。このように、組合から一定の回答を得たにもかかわらず、当該訪問が違法であると認識するよう執拗に求めた町の対応は、行きすぎであったといわざるを得ず、不誠実なものであったと認められる。
5 26年1月24日付け及び同年2月5日付けの団交申入れに町が応じなかったことについて
 町は、25年12月18日の団交以後は労働委員会での手続を介して交渉することを明確に認識しており、組合の要求を拒んだとしても団交拒否には該当しないと主張するが、町と組合との間で労働委員会での手続を介して交渉することの合意が成立していたとはいえない。
 町は、上記団交の後はこれ以上団交を継続しても進展の見込みがなかった旨主張する。しかし、町は上記団交の時点で組合が町の説明に納得しておらず、さらなる説明を求めていたことを十分認識していたといえるにもかかわらず、組合側の疑問や説明要求に十分に応えることはなかった。このような状況は26年1月24日及び2月5日の団交申入れの段階においても変化がなかったのであるから、町には本件雇止めに至る手続や経緯について可能な限り説明を行い、組合の理解が得られるよう努力を尽くすべき義務があるにもかかわらず、これを尽くしたとは認められない。
 また、組合がさらなる説明を求めていたことを認識していたのであるから、組合から具体的な説明が行われない限り、団交を開催しないという姿勢を町がとることは、表面上は団交に応じる体裁をとってはいるものの、事実上これを拒否しようとするものであったといわざるを得ない。組合があらかじめ団交の必要性を具体的に説明すべき特段の事情が存在していたとも認められない。
 以上のとおりであるから、上記の団交申入れに対する町の対応は正当な理由のない団交拒否であったと認められる。 
掲載文献   

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