労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪府労委平成26年(不)第51号 
事件番号  大阪府労委平成26年(不)第51号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成27年7月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社は平成25年1月1日付けで申立外会社Aから事業の譲渡を受け、Aの従業員約30名(申立人組合の組合員を含む。)は会社に雇用されることとなった。会社は、Aの従業員であった者に対し、25年2月分から26年3月分までの賃金について、控除前の賃金額が従前、Aで支給されていたのと同額となるよう、調整手当という名目の手当を支給するなどしたが、26年1月、組合員らに対し、同年4月分からは調整手当を支給しない旨述べた。組合は、同年7月7日、会社に対し、組合との協議もなく一方的に賃下げしたことを謝罪し、従前の額に速やかに回復すること等を要求事項とする団交を申し入れた。本件は、会社がこの団交申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成26年7月7日に申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
判断の要旨   本件団交申入れの議題は、組合員らの賃金に関するもので、義務的団交事項に当たることは明らかである。そうすると、その議題について団交で協議が尽くされた結果、既に双方の主張が平行線となっているなどの正当な理由がある場合を除き、被申立人会社には団交に応じ、自らの見解を明らかにして、合意が得られるよう申立人組合との協議を尽くす義務があるというべきである。
 会社は、事業譲渡の時から賃金水準の維持が一時的であることを組合は了知しており、平成25年4月及び9月に行われた団交において、会社は激変緩和措置は1年を目途とすると説明していた旨主張する。
 しかし、上記団交前後の双方の文書には激変緩和措置や調整手当といった言葉は記載されておらず、また、組合の26年4月21日付け抗議書には、会社が団交において激変緩和措置は1年を目途とし、見直しを行うことを説明した事実はない旨の記載があることが認められる。また、これらの団交の議題が激変緩和措置や調整手当に直接関連していたと認めるに足る疎明はない。
 そうすると、これらの団交で激変緩和措置や調整手当について労使が実質的に協議を行っていたとまではいえず、本件団交申入れに至るまでの間に、団交で双方の見解を明らかにして議論し、その結果、協議が平行線になっていたとみることはできない。
 したがって、会社は正当な理由なく本件団交申入れに応じなかったというべきであって、かかる行為は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。   
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約159KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。