労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  石川学園 
事件番号  都労委平成25年不第113号 
申立人  派遣ユニオン 
被申立人  学校法人石川学園 
命令年月日  平成27年6月16日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   X2は、被申立人法人の設置する専修学校で非常勤講師として勤務していたが、勤務態度不良等を理由に解雇を通告された。同人は申立人組合に加入し、組合が解雇の撤回を求めたところ、解雇は撤回された。その後、X2を執行委員長とする組合の下部組織が結成されるとともに、団交でセクハラ及びパワハラの苦情相談窓口の設置等の問題について協議が行われた。
 本件は、組合が更に団交を申し入れた日の翌日、上記専修学校の朝礼において、法人の理事長及び事務局長が「大切な時期に・・・団体交渉を持ってくること自体がいったいどうなのかなと・・・」、「労働組合みたいなことをやるのはやめてほしいよ」、「組合とか外部の組合とかろくでもないのやっている」などの発言を行ったことが組合の運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は法人に対し、1 朝礼において組合活動を批判・中傷する発言をすることなどによる組合の運営に対する支配介入の禁止、2 文書の交付・掲示、3 履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人学校法人石川学園は、朝礼において、申立人派遣ユニオン及びその組合活動を批判し、中傷する発言をするなどして、組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人法人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人法人内の教職員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
記(省略)
3 被申立人法人は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨   本件発言は、申立人組合及び団交の申入れ等の組合活動を批判し、中傷するものであるとともに、朝礼に出席した教職員に組合への不信感を抱かせるものである。そして、本件発言は、被申立人法人の代表者であり、学院長(専修学校の長)である理事長及び学院の事務全体を取り仕切る立場にあった事務局長が、教職員が多数参加する朝礼の場において行ったものである。
 このような状況下において、組合を批判し、中傷することは、組合の活動を抑制するものであるし、教職員に組合への不信感を抱かせ、ひいては組合加入等を阻害し得るものであるから、組合の組織・運営や活動に対して影響を及ぼすものであることは明らかである。
 これらのことから、法人の主張する使用者の言論の自由があるにしてもなお、本件発言は組合の運営に対する支配介入に該当する。 
掲載文献   

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