労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  市進 
事件番号  都労委平成25年不第118号 
申立人  全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合、同市進支部 
被申立人  株式会社市進 
命令年月日  平成27年6月2日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が、その運営する学習塾で常勤講師等として勤務していた組合員X2、同X3及び同X4に対し、それぞれ①担当授業数の削減及び賃金減額を行ったこと、②51歳雇止条項(常勤講師が満50歳に達した後は常勤講師としての契約更新を行わないとする就業規則の条項)により有期雇用契約が終了した後、嘱託教務社員として再雇用しなかったこと、③嘱託教務社員としての雇用契約を更新せず、雇止めとしたことは不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は会社に対し、1 X2に対し、平成25年度に追加コマが割り当てられたものとして取り扱うこと等、2 X3を嘱託教務社員として再雇用したものとして取り扱うこと等、3 X4との雇用契約を更新したものとして取り扱うこと等、4 文書の交付及び掲示、5 履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社市進は、申立人全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合市進支部執行委員長X2に対し、平成25年3月1日から26年2月末日までの間に追加コマが割り当てられたものとして取り扱い、同期間中に追加コマが割り当てられなかったことに伴い得られなかった賃金相当額を同人に支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人支部組合員X3を26年3月1日付けで嘱託教務社員として再雇用したものとして取り扱い、同日から同社員として職場に復帰するまでの間の賃金相当額を同人に支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人支部書記長X4との雇用契約を26年3月1日付けで更新したものとして取り扱い、同人を原職に復帰させるとともに、同日から現職に復帰するまでの間の賃金相当額を同人に支払わなければならない。
4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合及び申立人支部に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
記(省略)
5 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  1 組合員X2に対する担当授業数の削減及び賃金減額について
 被申立人会社は、平成25年度にX2に追加コマを割り当てなかった理由として、契約締結の遅れ及び本人の能力不足を挙げる。しかし、X2と同じく25年2月27日に雇用契約を更新した他の組合員は前年度と同程度の授業数を担当していること、申立人組合支部が会社に公然化を通知する前の時点において会社はX2に対し、追加コマの割当てを受けやすい小学部を担当することを進めていたこと等からすれば、会社の上記理由に関する主張はいずれも採用することができない。
 他方、X2は支部執行委員長として積極的に活動していたことや、当時、労使関係が緊迫の一途をたどっていたことに照らせば、会社が支部執行委員長であるX2を嫌悪したため、同人に追加コマを割り当てないとの取扱いをしたと推認せざるを得ない。
 したがって、会社がX2に追加コマを割り当てなかったことは、同人が支部執行委員長であることを理由とした不利益取扱いに当たるとともに、支部執行委員長に不利益を課すことにより、支部の影響力の減殺を図ろうとした支配介入にも該当する。
2 組合員X3に対する嘱託教務社員としての再雇用の拒否について
 会社は、X3が希望していたにもかかわらず、再雇用をしなかった理由について、同人の能力不足によるものと主張する。しかし、X3が過去に中学部の最難関クラスも担当していること等からすると、嘱託教務社員として再雇用し難いほど同人の能力が不足していたとは認め難い。また、会社の次長Y2がX3との面談において、組合を脱退すれば、嘱託教務社員として再雇用する可能性があることを示唆するような発言をしていることからすれば、会社は同人の能力が再雇用を困難とするほど不足していたと考えていたわけではないといえる。したがって、会社の上記主張は採用することができない。
 そして、上記のとおり会社がX3に対し、組合を脱退することを働きかけていたこと、前記1のとおり支部公然化以降、労使関係が緊迫していたことからすれば、会社が同人の再雇用を拒否したことは同人が組合員であることが理由であると推認することができる。
 したがって、本件再雇用拒否は、X3が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるとともに、支部組合員を職場から排除することにより、支部の弱体化を図ろうとした支配介入にも該当する。
3 組合員X4の嘱託教務社員としての雇用契約を更新しなかったことについて
 会社は、X4との雇用契約を終了させたのは、生徒の保護者からのクレームなどにみられる問題行動が原因で、改善の見込みがないと判断したためだと主張する。しかし、会社は、当該生徒はX4以外の他の先生では対応できない旨説明しており、対応が難しいことを承知の上でX4に担当を依頼している。そして、クレームの内容であるX4の暴言についても、同人と保護者との言い分が異なっており、保護者が話合いを拒否する形で終わっている。これらのことからすると、会社の上記主張は採用することができない。
 他方、X4は勤務していたA教室で過半数代表者に選出されて以降、会社に対し、36協定の締結を拒否し、従前の未払賃金の支払を求めるなど、対立的な行動をとっていた。会社も同人の集団授業を全て外すなど強硬に対応しており、過半数代表者としての同人の活動を嫌悪していたと認められる。さらに、X4は労使関係が緊迫した状況で組合支部書記長として組合活動に参加していた。これらのことからすると、本件雇止めは、組合支部書記長であるX4を排除することを意図していたものと推認せざるを得ない。
 以上からすれば、本件雇止めは、X4が組合支部書記長であることを理由とした不利益取扱いに当たるとともに、書記長を職場から排除することにより支部の弱体化を図ろうとした支配介入にも該当する。 
掲載文献   

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