労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第60号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第60号 
申立人  X労働組合 
被申立人  一般財団法人Y 
命令年月日  平成27年6月12日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人で事務職員として勤務していたEは、平成24年8月31日付けで解雇された後、雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めること等を求める仮処分命令申立てを裁判所に行い、その結果、当該解雇の撤回と復職等を内容とする和解が成立した。Eは、同年12月20日に復職し、その際、法人の主事Hから復職後の担当業務についての説明があったが、事務所の合鍵は貸与されなかった。Eは同日、申立人組合に加入した。
 本件は、法人が①Eの業務を復職前のそれに回復させないままでいること、事務所や書庫の合鍵を貸与しないままでいること、②団交において、上司のEに対する言動について誠実に協議及び回答をしなかったこと、賃金の引上げ等について資料を開示しないなど不誠実な対応をとったこと、③Eに対し、昼休みに事務所に在室することを禁止する等の差別的取扱いを行ったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は法人に対し、賃金改定の議題に係る団交に誠実に応じること及び文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成25年3月8日付けで申し入れた賃金改定の議題に係る団体交渉について、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨  1 組合員Eの業務内容を解雇前と異なるものに変更したままであることについて
 認定した事実によれば、被申立人法人がEの復職後の業務を変更する旨決定し、同人に対し、説明したのは組合加入通知前であり、同人の組合加入、あるいは同人が組合員であることとは何ら関係がないといえる。また、Eの復職以降、同人の業務を元に戻すべき特段の事情が生じたにもかかわらず、法人が、組合員であるが故に業務を変更したままにしているとの疎明もない。
 したがって、Eの業務を変更したままであることが、組合員であるが故の不利益取扱いであるとの申立人組合の主張は採用できない。
2 事務所及び書庫の合鍵をEに貸与しないままでいることについて
 法人が合鍵をEに貸与しないとしたのは、同人の組合加入を認識する前のことであり、また、法人は従来の事務所及び書類の管理に問題があると判断し、厳重に管理するためにEの復職後には貸与せず、一貫して貸与の必要性がない旨主張しており、その理由にも一定の合理性があるといえる。さらに、法人が救急箱をオープンな場所に移動させるなど組合の要求にも対処していることを併せ考えると、法人が合鍵をEに貸与しないままでいることは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとはいえない。
3 団交における対応について
 平成25年4月から9月までの間に行われた3回の団交における法人の対応についてみると、組合がEの昇給額として5,000円の賃金改定を要求するとともに、法人が提示している基本給を2,225円増額することの根拠として収支、決算書等の資料の提示や説明を求めたのに対し、法人はEの昇給額の決定は法人の財務状況とは直接関係がなく、同人に対する評価によるものである旨説明するのみで、どのような指標や要素によって評価し、昇給額を決定しているのかについては全く説明していない。また、法人は財務資料の開示を拒否しているが、組合の要求どおりの賃金改定ができないという回答の根拠について、何の資料等も提示しておらず、組合を納得させるべく具体的に説明を尽くしたとはいえない。
 以上のことからすると、法人は誠実に協議を尽くしたとはいえず、上記団交における賃金改定に係る議題についての法人の対応は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。
4 Eに対し、昼休みの事務所在室を禁じたことについて
 平成25年11月15日の昼休みに法人の主事HがEに対し、事務所から出て外で昼食を取るよう求め、事務所の入口を施錠したことが認められるものの、同人は同年6月頃から昼食を事務所の隣の祖霊殿で取っており、普段から昼休みに事務所に在室していなかったのであるから、Hが特別な指示をしたとみることはできず、特段不自然ということはできない。また、同日以降、EがHから同様の指示を受けたとの事実の疎明もない。むしろ、事務所に鍵をかけない場合には、一人で残されたEに来客や電話等のやり取りをさせることになり、昼休みが取れなくなることに配慮して、鍵を閉め、同人に事務所外で昼食を取るよう求めたのも、使用者のとるべき措置として一定理解できるところである。
 したがって、上記のような法人の対応が組合に対する支配介入に当たるとはいえない。 
掲載文献   

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