労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第48号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第48号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成27年6月2日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   生コンクリートの製造、販売等を営む被申立人会社は、生コンの品質管理監査に係るマル適マークが使用できなくなり、売上げが減少したことから、組合員C及び同Dを含むミキサー車乗務員8名全員を解雇した。Cらが会社に対し、雇用契約上の地位確認並びに未払賃金及び遅延損害金の支払等を求める訴訟を提起したところ、同人らが雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する等の判決が確定するに至った。
 本件は、その後、会社が①Cを乗務員に復帰させず、組合との間の事前協議同意約款に違反して自宅待機を命じた上、外出を禁じ、監視していること、②Cの同意なしに、同人の平成25年7月分の賃金から裁判期間中の雇用保険料を一括控除したこと、③Cの原職復帰等を議題とする4回目の団交に応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。なお、Dは本件救済申立て前に組合を脱退するとともに、会社を退職した。
 大阪府労委は、1 Cに対する自宅待機命令がなかったものとして取り扱い、原職に復帰させること等、2 誠実団交応諾、3 文書の手交及び掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員Cに対する自宅待機命令がなかったものとして取り扱い、原職又は原職相当職に復帰させるとともに、同人が就労していれば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人が平成25年7月12日付け及び同月25日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2メートル×横1メートル大の白色板に同文を明瞭に記載して、被申立人本社の正面玄関付近の従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨  1 組合員Cに対する自宅待機命令等について
(1)自宅待機命令
 被申立人会社は、Cをミキサー車乗務に復帰させないのは、同人に乗務してもらうミキサー車が存在しないからである旨主張する。しかし、認定した事実によれば、会社ではCらの雇用契約上の地位を確認した判決の後、乗務員8人・車両8台又は乗務員7人・車両7台の稼働体制がとられ、一部乗務員の交代も行われていることから、ミキサー車の乗務員を交代させることは可能であるというべきである。また、自宅待機命令の対象者の人選理由に関し、組合員であるCらに何らかの問題があったとの疎明はない。
 さらに、会社が上記判決の直前の時期に、従前の4名に加え、3名の乗務員を増員したことは、たとえ仕事の増加が見込めていたとしても極めて不自然であり、控訴審の審理状況からCらの職場復帰が予見できたであろうことも併せ考えると、Cにミキサー車の乗務をさせないとする意図が働いていたと推認せざるを得ない。
 以上のとおりであるから、会社がCらに自宅待機を命じたことに合理的な理由はなく、その後、組合員Dが申立人組合を脱退していることも併せ考えるならば、組合員を不利益に取り扱い、もって、組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図ったもので、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。
(2)自宅待機中のCに外出を禁じたこと等
 認定した事実によれば、会社はCに対し、合理的な理由もなく外出を禁じたということができ、また、常時監視していたか否かはともかく、同人の動静を把握するために一定の体制を組んでいたと推認できる。かかる会社の対応は、Cに対する不利益取扱いであり、同人の行動に合理的な理由なく制約を加え、もって同人の組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図ったもので、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。
2 Cの平成25年7月分の賃金から裁判期間中の雇用保険料を一括控除したことについて
 認定した事実によれば、会社はCに25年7月分の賃金を支払った時点では、同人に支払うべき23年1月以降の未払賃金及び遅延損害金を一部しか支払っていないにもかかわらず、23年1月分から25年5月分までの29か月分の雇用保険料本人負担分を全額控除したのであり、かかる一括控除について同人に事前に通知することさえなく、いまだ支払っていない賃金に対応する雇用保険料まで先取りして控除したものといえる。
 このことについて会社は、強制執行停止の担保金の取戻しに予想以上の時間を要した旨主張するが、会社が先に支払った未払賃金等は後日支払った分を含む合計額の約37.5%にすぎない。また、会社は、組合が団交により解決を図ろうとしたのに対し、雇用保険料を一括控除したことはその間の給料を支給したから当然であると答えるのみで、残る未払賃金の支払が遅れている理由等について説明したとの疎明はない。
 こうした会社の対応に加え、前記1のとおり本件自宅待機命令が不当労働行為であると認められること、また、後記3のとおり団交で不誠実な対応をしただけでなく、第4回団交の申入れに正当な理由なく応じておらず、これらの対応がいずれも不当労働行為であると認められることからすれば、会社がCの賃金から29か月分の雇用保険料を一括控除した時期において、会社と組合は厳しく対立し、会社が組合を嫌悪していたことは明らかである。
 以上のことからすれば、本件雇用保険料の一括控除は、Cが組合員であることを嫌悪して行われた不利益取扱いであるとともに、組合員に動揺を与え、組合を弱体化する支配介入にも当たるとみるのが相当であり、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。
3 第4回団交の申入れを拒否したことについて
 認定した事実によれば、第1回及び第2回の団交における会社の交渉態度は、組合の要求を理解した上で会社の考えを理解してもらうよう説明を尽くしたり、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務を果たしたものとはいえない。また、会社が第3回団交において、裁判するから帰ってくれ、裁判で決着をつける旨述べて、Cの原職復帰という要求事項について何ら具体的な協議をすることなく、約6分で団交を打ち切ったことが認められる。以上のような会社の対応はいずれも不誠実団交に当たる。
 そして、会社は、組合の第4回団交の申入れに対し、裁判に向けて手続中の相手とは団交できない旨、裁判所でお願いする旨回答しているが、会社は第3回までの団交を誠実に行ったとはいえないのであるから、当該団交申入れに対し、団交で誠実に説明する必要があったといえるにもかかわらず、これに応じていない。たとえ裁判手続を検討していたとしても、裁判をする相手とは団交できないとの理由は団交を拒否する正当な理由とは解されない。
 したがって、会社が本件団交申入れに応じなかったことは正当な理由のない団交拒否に当たり、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
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