概要情報
事件名 |
大阪府労委平成22年(不)第59号 |
事件番号 |
大阪府労委平成22年(不)第59号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y合同会社 |
命令年月日 |
平成27年5月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①恣意的な業績評価を行うことにより、組合員X2の定年後の再雇用を拒否したこと、②定年退職者再雇用制度についての団交において、定年退職前3年間の業績評価を再雇用選定基準とする考えを変えず、申立人組合の主張に耳を傾けなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X2の定年後の再雇用を拒否したことについて
平成21年4月から実施された被申立人会社の再雇用制度においては、再雇用される者が満たすべき適用基準に「過去3年間の業績評価の平均が標準以上の者」という基準が含まれており、組合員X2はこの基準を満たしていないことを理由に再雇用されなかったことが認められる。
申立人組合は、会社がX2を再雇用しなかったことについて、上記再雇用制度における再雇用の基準となる業績評価制度及び同制度に基づく業績評価の不公平・不公正等を理由に組合員であるが故の不利益取扱いに当たる旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、会社の業績評価制度は全体として一定の客観性を有するものとみることができ、公平・公正さに欠けるものであったということはできない。
また、X2の業績評価が恣意的になされたものであるかどうかについてみると、会社が平成18年及び19年中を評価対象期間とする同人の業績評価をC評価とした理由にはいずれも一定の妥当性があるということができる。17年中についても同人の業務遂行状況が18年及び19年と大きく異なっていたとは考え難く、C評価とした理由にはいずれも一定の妥当性があるとみるべきである。
さらに、X2の業績評価の手続について不自然な点は認められない。
以上のことからすると、本件評価対象期間中におけるX2の業績評価が恣意的になされたものということはできない。
このほか、組合は、不利益取扱いであると主張する根拠として、組合と会社との間の40年にわたる労使関係が再雇用拒否の判断に密接な要素・要因として位置付けられていること等を挙げるが、これらが上記主張の根拠になるとみることはできない。
以上のとおりであるから、会社がX2を再雇用しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとはいえない。
2 定年退職者再雇用制度に関する団交における対応について
本件団交においては、組合が業績評価を再雇用の基準とすることは高年齢者雇用安定法の趣旨に反して無効である旨主張し、撤回を求めたのに対し、会社は組合との見解の違いを認めた上で、制度制定に際しての法的手続の正当性及び厚生労働省の通達を根拠に同法の趣旨に反しない旨主張し、撤回しない旨回答している。したがって、組合と会社の双方が互いに根拠を示して自らの主張を行った結果、一致点を見出せぬまま、交渉が平行線をたどって行き詰まりに至ったとみるのが相当である。
また、会社は撤回を求める組合の要求に対して、再雇用基準の職務等級に係る制限を撤廃して一定の譲歩を行い、その後も組合との交渉に応じる姿勢を示しているものとみることができる。
以上のことからすると、本件団交における会社の対応が不誠実であるとはいえず、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとはいえない。 |
掲載文献 |
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