労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  本能寺文化会館 
事件番号  京労委平成25年(不)第4号 
申立人  全労連全国一般労働組合京都地方本部京都一般合同労働組合、同本能寺分会 
被申立人  株式会社本能寺文化会館 
命令年月日  平成27年3月3日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社が申立人組合の分会長X2を定年退職後、再雇用するに当たり、業務内容を本能寺パーキング管理運営業務と提示したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 京都府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合活動上の不利益について
 申立人組合らは、組合の分会長X2が定年時の勤務場所である旅館本館及び西館から完全に独立した駐車場管理室での一人勤務となり、本館ロビー前の通行も禁止され、他の従業員との接触を断たれたため、組合活動上の不利益を被っていると主張する。
 しかし、認定した事実によれば、駐車場管理室は本館及び西館から特に遠距離ではなく、組合活動上、支障が生じるとは認められない。また、確かに勤務時間中の他の従業員との接触の機会は減少したかもしれないが、接触の機会が絶たれたわけではなく、勤務時間外も含めれば、他の従業員との接触に大きな支障が生じているとはいいがたい。組合らから、本件処分により、具体的な組合活動について何らかの支障が生じたとの主張や立証はない。したがって、組合活動上の不利益取扱いであるとまでは認められない。
2 人事上の不利益について 
 組合らは、X2以外で継続雇用制度を適用された者は、いずれも定年時と同じ職場に配置され、同じ肩書を得ているのに、X2は全く異なる待遇を受けており、これが不利益取扱いに当たると主張する。
 被申立人会社においてX2以外に継続雇用制度の適用を受けた者は2名であり、いずれも定年時には課長であったところ、同じ課の課長待遇として引き続き同じ業務に従事している。しかし、これら2名は、それぞれの業務に必要な資格を有しており、専門的技能を有する者と認識されていたり、後任者の育成中であるとの事情により、定年時と同一の業務に従事し、同等の肩書を付されているものと認められる。
 また、会社の継続雇用制度は勤務延長ではなく、再雇用であり、勤務場所は会社が指示し、賃金も6割から8割5分の額に減額されるなど制度上、業務の変更を予定しているものと認められる。したがって、定年時と同一の業務及び同等の肩書を保障するとの取扱いがなされていたとは認められない。
3 その他の不利益取扱いについて
 組合らは、本件処分(X2の本能寺パーキング管理運営業務への配置)は同様の例が1つしかない実質上の現場業務への配置であり、合理性もないから、他の従業員が左遷、みせしめと受け取らざるを得ない不利益取扱いであると主張する。
 しかし、上記本能寺パーキング管理運営業務の具体的な内容は、利用客の誘導等の接客業務及び駐車料金の集計等の会計業務であるが、単にそれのみをもって評価の低い仕事とまではいえない。また、これら以外に2名のアルバイト職員に対する日常的な労務管理も含まれていた。こうしたことからすれば、同業務は単なる現場業務であって、評価の低いものであるとはいえない。そして、他に、業務の内容等に即して具体的、客観的に同業務が評価の低い業務であるとの主張、立証はない。したがって、本件処分は、他の従業員の一般的認識に照らして不利益取扱いであるとまではいえない。
4 結論
 以上によれば、本件処分は、X2が組合らに加入し、又は組合らの正当な行為をしたことの故をもってなされたものであるか否かについて判断するまでもなく、労組法7条1号の不利益取扱いには該当しない。したがって、同条3号の支配介入にも該当しない。 
掲載文献   

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