労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  城陽市 
事件番号  中労委平成25年(不再)第71・72号 
再審査申立人  洛南地域合同労働組合(「組合」) 
再審査申立人  城陽市(「市」) 
再審査被申立人  城陽市(「市」) 
再審査被申立人  洛南地域合同労働組合(「組合」) 
命令年月日  平成27年3月18日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 市が、① 平成22年度及び23年度、学童保育指導員として1年間を雇用期間とする嘱託職員に任用していた組合員Aに対し、 24年度の任用を行わなかったこと (「本件任用拒否」)、 ② 23年5月13日から24年3月5日までの間に10回行われたA組合員の労働条件及び本件任用拒否を議題とする団体交渉を誠実に行わなかったこと、また、 3月5日以降、本件任用拒否に関する団体交渉申入れに対し、交渉の余地がないと して応じなかったことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事案である。
2 初審京都府労委は、上記1のうち、②の団体交渉における市の対応は不当労働行為に該当するとして、市に対し、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却したところ、これを不服として、組合及び市は、それぞれ再審査を申し立てた。  
命令の概要  1 主文
 本件各再審査申立ての棄却  
判断の要旨  1 本件任用拒否について(争点1)
 (1) 本件任用拒否は、「不利益な取扱い」に該当するか
 求人票には更新の可能性ありと記載され、再任用の可否の検討が必要になった例はなく、同僚指導員にも長く任用されている者が複数いることから、再任用を希望したにもかかわらず拒否したことは、市がA組合員に不利益を被らせたということができ、本件任用拒否は、労組法第7条第1号にいう「不利益な取扱い」に当たる。
 (2) 本件任用拒否が、市の不当労働行為意思によって行われたものといえるか否か
  ア 本件任用拒否前の労使関係について
 A組合員は、23年度は再任用されたが、23年4月1日には組合加入を通知し、同月以降、市と組合との間では、同組合員の労働条件の明示等をめぐり団体交渉での主張が対立していた。 また、 組合は労基法第15条違反の事実を申告し、是正勧告が行われ、その後、24年2月16日に本件任用拒否の通告が行われたことから、市と組合の労使関係は、一定の対立状況にあったとみることもできる。
  イ 本件任用拒否の合理的理由について
 A組合員については、任用の初年度である22年度時点から、保護者から相談が寄せられ、市が注意を行ったり、同僚の指導員から対応に苦慮している旨の報告が市になされるなどの勤務態度上の問題点があった。そして、23年度においては、市は、A組合員を異なる学童保育所に配置したものの、配置先の指導員からも連携がとれないとの苦情や、勤務態度に関する問題点の報告が相次ぎ、同組合員は、他の指導員と協調しつつ勤務することが因難で、学童保育所の円滑な運営が難しい状況となっていたといえ、本件任用拒否には合理的な理由があるということができる。
  ウ 本件任用拒否は不当労働行為意思によるものかについて
 市は、組合加入通知前の22年度においても、A組合員の勤務態度の問題点を認識し、任用の適否を検討しており、23年度も勤務態度上の間題は変わらなかったことから、24年度は再任用することはできないと判断したとみることができる。確かに、労使間の対立は認められるが、市は、同組合員の勤務態度につき種々の対応をとり続けてきたことが認められる。 以上から、本件任用拒否は、勤務態度上の問題を理由としたもので、不当労働行為意思によるものと認めることはできない。
 (3) 以上から、本件任用拒否は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たるとはいえず、また、組合の存在を嫌悪して行われたとまでは認めるに足りないことから同条第3号の不当労働行為に当たるともいえない。
2 A組合員の労働条件及び本件任用拒否に係る団体交渉について(争点2)
 (1) 第1回から第10回団体交渉における市の交渉態度が誠実交渉義務に反するか
 市は、① A組合員の労働条件については、勤務時間等の特定が困難という業務の特殊性を組合に説明し、理解を求めようとしていた旨、② 期間満了により任用関係は終了するので理由を問題にする余地はなく、十分な説明は必要ない旨主張する。しかしながら、①については、第1回から第9回のA組合員の労働条件に関する団体交渉において、市は、勤務時間の特定や保障はできない旨の回答を繰り返し、組合に対し理解を求めるべく説得や反論を行ったとはいえない。 また、②については、第9回及び第10回の本件任用拒否に関する団体交渉において、市は、本件任用拒否の理由について、期間の満了によるものと回答しただけで、組合の理解を得るべく具体的な説明を行っていない。 以上から、A組合員の労働条件及び本件任用拒否に関する団体交渉における市の一連の対応は、不誠実な交渉態度に終始したものというほかなく、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
 (2) 本件任用拒否について市が交渉を打ち切り、その後の交渉に応じていないことに正当な理由はあるか
 市は、本件任用拒否が議題となった第10回団体交渉の市の対応は不誠実であると抗議し申し入れられたその後の団体交渉申入れに対し、24年度の任用は行わないとの市の方針は変わらないので交渉の余地はないと してこれを拒否している。 
 しかしながら、本件任用拒否はA組合員にとって労働条件に関わる事項であるところ、市は、組合の理解を得るべく具体的な理由を説明するなどの対応が求められており、なお交渉を尽くすべきであったから、市が本件任用拒否についての団体交渉を打ち切りその後の団体交渉申入れに応じていないことに正当な理由があるとはいえず、市の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成24年(不)第2号 一部救済 平成25年8月21日
 
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