労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本光電工業労働組合 
事件番号  都労委平成25年不第74号 
申立人  連合ユニオン東京 
被申立人  日本光電工業労働組合 
命令年月日  平成27年2月3日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   申立外労組Zの組合員であったX2は、被申立人組合Yで専従職員として勤務していた時、Yの会計処理に疑問を持ち、Yの執行委員長Y1に対して意見を述べたが、同人はX2の意見をとり入れなかった。X2はその後、体調を崩し、平成25年2月8日以降勤務しなくなった。同年6月10日、ZはX2に対し、本年3月末で退会とする旨通知し、同月24日、YはX2に対し、Zの組合員であることという雇用条件が満たされなくなったとの理由により、7月31日付けでの雇用契約の終了を通知した。X2は、申立人組合(以下「組合」)に加入し、組合は同人の「解雇撤回」を求めてYに団交を申し入れた。本件は、Yが組合との2回の団交に誠実に応じたか否かが争われた事案である。
 東京都労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 第1回団交について
 認定した事実によれば、被申立人組合Yは、申立人組合(以下「組合」)からの要求、とりわけ組合員X2の解雇撤回につき、一応の回答や説明を行っていたといえる一方、組合からはそれ以上の質問があったとの疎明はなく、交渉に支障が生じるほど具体的に不誠実な対応があった事情は窺えない。
2 第2回団交について
 この団交においては、まず、組合がYの執行委員長Y1のX2に対する「パワーハラスメント」の具体的な事例を2つ挙げた上、Yが第1回団交でX2の解雇理由の1つとして、同人には意欲、能力がないことを挙げたことについての具体的説明がないことを指摘して説明を求めた。これに対し、Yは上記の2つの「パワーハラスメント」事例について説明するよう求めた。しかし、これは、第1回団交で組合が「パワーハラスメント」による心身の不調のためにX2が休まざるを得なかった旨主張したことによるのであるから、Yが意図的に解雇理由の説明を回避したものとみることはできない。また、組合も「パワーハラスメント」と解雇問題が密接に結びついているとの認識を示しているのであるから、Yが「パワーハラスメント」の存否について議論をしようとしたのは当然であって、「パワーハラスメント」を指摘したことの根拠を示さなければ解雇問題について話し合えないという意思表示をしたとか、話をすり替えたなどと評価するのは相当でない。したがって、Yが「パワーハラスメント」についての説明を求めたことが不誠実であったとはいえない。
 続いて組合は、「解雇をどうするか、撤回する意思があるのかないのか、なければないと言ってください」と再度要求を述べたものの、それに対する回答を聞かずに、労働委員会に持っていく旨発言している。これらの発言は、組合がこれ以上当事者間のみの話合いで解決を模索することを放棄したものと評価することができる。組合は、要求に対する回答を確認せず、自らの要求が受け入れられないと解釈し、問題解決方法について議論を進めることもなく、労働委員会に持っていく旨述べて、団交による解決を断念する態度を示したものといわざるを得ない。
 一方、Yは、解雇理由について一応の説明を行い、団交を続ける意思を示していたのであるから、解雇理由等の説明が十分になされなかったとしても、その責めをYに帰することはできず、団交におけるYの対応が不誠実であったとはいえない。 
掲載文献   

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