労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第35号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第35号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成27年2月10日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   Cは平成20年8月、被申立人会社に入社し、バラセメント車の運転手として勤務していた。同人は、その時、申立外組合Pに加入した。22年6月、会社のバラセメント運送業務が申立外会社Zに移行され、同業務に従事する社員は同社の社員となった。23年2月、ZとPとの間で、Cを含む社員は退職し、同年3月以降、日々雇用者扱いとする旨などが記載された協定書が取り交わされた。24年11月、会社及びZとPとの間で、上記協定書を合意解約し、25年2月以降、Cらの就労の受入れはPによる労働者供給事業に移行すること等が記載された協定書が取り交わされた。同月以降、会社はPとの間の労働者供給契約に基づき、Pから組合員の供給を受けて就労させた。同年6月、Cは「脱退届」をPに送付した。同年7月、申立人組合は、会社に対し、Cの組合加入を通知するとともに、同人の常用労働者としての地位の確認等を議題とする団交を申し入れた。
 本件は、会社がCとの間には雇用関係がないとして、この団交申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨   申立人組合は、本件団交申入れ時において被申立人会社と組合員Cとの間に雇用関係等が存在することから、会社は同人の労組法上の使用者に当たる旨主張する。
 しかし、会社と申立外労組Pとの間の労働者供給契約によれば、会社と供給されて就労する者との法律関係は、Pによる供給のある限りにおいて成立する使用関係であるものと認めるのが相当である。そして、Cは平成25年6月にPを自主的に脱退したことが認められるから、同人と会社との間の使用関係も同時に終了したものと認めるのが相当である。
 組合は、Cは24年11月の協定書の内容について合意していないから、当該協定書によって会社と同人との間の雇用関係等が失われることはないなどと主張する。しかし、Cは同年2月以降、Pの組合員の雇用問題に関する会社とPとの協議の場にP側として出席していたことが認められ、Pによる労働者供給事業に関する事情等を了知し、その時点では同意の上、会社で日々就労していたとみることができるから、組合の上記の主張は採用することができない。
 組合は、会社とPとの間で、Cを正社員に戻すという団交が継続して行われていたから、Cと会社との間には同人の雇用関係について解決されるべき労使紛争が継続していた旨主張する。しかし、24年11月の協定書は、同年9月におけるPの組合員による就労拒否を経て取り交わされたものであり、その記載内容からは、少なくともこの時点において会社及びZとCを含むPとの間の労使紛争は一応解決された上で、労働者供給事業に移行したとみるのが相当である。また、Cが協定書の内容を了知し、これに同意していたことは前記のとおりであるから、組合の上記の主張は採用することができない。
 以上のとおり、組合の主張はいずれも採用することができず、会社はCの労組法上の使用者に当たらないとみるのが相当である。したがって、本件団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるとはいえない。 
掲載文献   

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