概要情報
事件名 |
大阪府労委平成25年(不)第47号 |
事件番号 |
大阪府労委平成25年(不)第47号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
学校法人Y |
命令年月日 |
平成27年2月3日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
団交で労使が合意したにもかかわらず、被申立人法人が合意事項に
ついての労働協約の締結を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 教育研究費の取扱いに係る労使間の合意について
認定した事実によれば、被申立人法人では、平成23年3月31日までは教育研究費の支出に係る対象団体の限定はなかった
が、同年4月1日、教育研究費取扱い規程が施行され、日本学術会議所属団体に限るとの変更がなされ、その後、24年2月以
降、団交でこのような取扱いについての協議が行われた。
申立人組合は、24年9月20日の団交(以下「本件団交」)において、教育研究費の使用について、学会諸経費や大会等への
研究出張の費用等を日本学術会議所属団体に関係するものに限定しないとの合意が成立していた旨主張する。
しかし、本件団交においては、法人の学務長Y2が「元に戻す」と発言していたものの、組合が終了間際に、教育研究費の取扱
い及び非常勤講師としての出講取扱いについて労働協約の締結を求めたところ、法人の理事Y3が、今、協約にしてしまい、明日
からということまではいっていない旨述べ、Y2が、教学の事項だから教授会で決めないといけない旨述べたことなどが認められ
る。このことからすると、本件団交においてY2の元に戻す旨の発言が法人の確定的な意思表示ではないこと、ましてや組合との
間で法的効力を付与すべき合意があったとして労働協約の締結ができる段階ではないことを法人が意思表示していたといえる。加
えて、組合の執行委員長X1の発言から、23年4月1日変更前の、対象団体について何らの制限もなかった取扱いに戻すことに
ついては組合も問題視し、詳細を検討する必要があると認識していたことが推認される。
以上のことからすると、本件団交全体としてみれば、組合の主張するような、23年4月1日変更前の状態に戻すという内容で
の合意が労使間で成立していたということはできない。
2 非常勤講師としての出講取扱いに係る労使間の合意について
認定した事実によれば、法人では、他大学から非常勤講師としての出講の要請があった場合、通年2コマを限度として認めると
いう運用がなされていたが、24年度からは法人内の場合と社会貢献と認められる場合以外は原則として認めないということに変
更され、前記1の場合と同様にその後、団交で協議が行われた。
組合は、本件団交において、他校への非常勤講師としての出講を原則禁止としないとの合意が成立していた旨主張する。
しかし、本件団交における法人の発言をみると、Y2が元に戻す、それが結論である旨述べたものの、団交終了間際の組合と法
人とのやり取りは前記1のとおりであることが認められる。このことからすると、Y2の元に戻す旨の発言が法人の確定的な意思
表示ではないこと、ましてや組合との間で法的効力を付与すべき合意があったとして労働協約の締結ができる段階ではないことを
法人が意思表示していたといえる。
したがって、本件団交全体としてみれば、組合の主張するような、24年度変更前の状態に戻すという内容での合意が労使間で
成立していたということはできない。
3 結論
以上のとおり、教育研究費の取扱い及び非常勤講師としての出講について、本件団交において組合と法人との間で合意が成立し
ていたとはいえないのであるから、労働協約としての法的効力を付与すべき労使間の合意事項がない以上、法人が労働協約の締結
を拒否したことをもって、労組法7条2号及び3号に該当する不当労働行為であるとはいえない。 |
掲載文献 |
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