労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第44号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第44号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y府 
命令年月日  平成27年1月30日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人府が、公立学校の常勤講師又は非常勤講師である組合員らの労働条件等に関する事項を団交事項とする団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は常勤講師に係る申立てを却下するとともに、府に対し、文書手交を命じた。 
命令主文  1 地方公務員法第22条の規定により任用されたY府の公立学校常勤講師に係る申立てを却下する。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
  申立人組合
   執行委員長 A 様
Y府
知事 B
  当府が、貴組合が平成24年11月1日付けで申し入れた団体交渉のうち、地方公務員法第3条第3項第3号に定める特別職のY府の公立学校非常勤講師である貴組合の組合員の労働条件に関する団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 申立人組合の申立人適格について
 申立人組合の構成員には地方公務員法が適用される者と労組法が適用される者が含まれており、組合は適用法規の異なる労働者で構成されるいわゆる混合組合である。混合組合は、労組法の適用がある構成員にかかわる問題については労組法上の労働組合としての権利を行使することができ、申立人適格を有するものと解すべきである。組合は、本件団交申入書によって、労組法適用者であり、かつ、登録職員団体に加入できない非常勤講師等にかかわる要求についても団交を申し入れていることが明らかであるから、本件団交申入書のうち労組法適用組合員に関する部分に限り、申立人適格を有すると解するのが相当である。
 地公法22条の規定により任用される臨時的任用職員については、同法58条において同法適用職員に対する労組法の適用除外を明確に定めている以上、当該職員に係る組合の申立人適格を認めることはできないのであるから、本件団交申入れのうち臨時的任用職員である常勤講師に係る申立てについては却下する。
2 団交申入れへの対応について
 府は、本件団交申入れにより申入れのあった定期交渉は地公法上の交渉であって、労組法7条2号が定める同法に基づく団交ではないので、本件申立てについて不当労働行為の成否を問題にすることは誤っている旨主張する。
 しかし、本件団交申入れに基づく交渉は、労組法適用者の問題に関しては同法7条の保護を受けるべき団交とみるべきであるから、この交渉が法的性格と交渉経過からみても労組法に基づく団交ではなく、地公法の規定に基づく地方公共団体の当局と職員団体との交渉と位置付けられるものであるとする府の主張は採用できない。
 府はまた、本件団交申入書に基づく定期交渉が行われていないのは、府が交渉開催に向けた予備交渉の開催を申し入れたにもかかわらず、組合が一方的にこれを団交拒否に当たると判断しただけであり、府は交渉を拒否してはいない旨主張する。
 しかし、本件団交申入れに基づく交渉は、労組法適用者の問題に関する限り、本交渉開催前の折衝が地公法に基づく予備交渉であるとはいえず、予備交渉を義務付けることはできない。
 また、府の教育委員会(以下「府教委」)が組合に対し、交渉参加者名簿の事前提出を求めたものの、組合の同意が得られず、その結果、定期交渉が開催されなかったことが認められるところ、府教委に正当な理由があるか否かについて検討すると、次のとおりである。すなわち、本件団交申入れ前において既に2年間、交渉参加者名簿の事前提出をめぐる意見の対立から定期交渉が開催されておらず、本件団交申入れを受けた行われた府教委と組合との事前折衝等においても双方の姿勢には変化がみられなかったのであるから、予備交渉を続けたとしても、交渉参加者名簿の事前提出の件について合意が成立する可能性はほとんどなかったとみることができる。そうであるとすれば、何ら新しい提案も記載されず、予備交渉を求めることのみが記載されている府教委からの電子メールを見て、組合がこれ以上、事前折衝を続けることを選択しなかったことは無理からぬ対応であったということができ、組合が一方的に団交拒否に当たると判断しただけであるとする府の主張は採用できない。
 以上のとおりであるから、そもそも本件団交に関しては予備交渉を義務付けることができない上に、団交開催に至る可能性があるような事前折衝が当事者間において進行中であったという事情も窺えないのであるから、本件団交申入れに対する府の対応は、いたずらに予備交渉の継続を求め続けることで団交開催を回避していたとみるほかなく、正当な理由のない団交拒否であると判断せざるを得ない。 
掲載文献   

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