事件名 |
大阪府労委平成25年(不)第67号 |
事件番号 |
大阪府労委平成25年(不)第67号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y市 |
命令年月日 |
平成27年1月26日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合が、平成25年11月に大阪府労委が発した不当労働行
為救済命令を直ちに履行することを要求事項として団交を申し入れたのに対し、被申立人市が当該命令について中労委に再審査申
立てを行ったことを理由に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
同労委は市に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人から平成25年11月7日付けで申入れの
あった団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
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判断の要旨 |
申立人組合の団交申入れに係る団交事項は、大阪府労委平成24年
(不)第17号事件命令をただちに履行すること、とされている。同命令は①要求事項のうち労働条件にかかわる事項についての
団交応諾、②誓約文の手交を命じているところ、①については団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能な
ものであるから、義務的団交事項であるといえる。
被申立人市は本件団交申入れに応じない理由として、まず、本件団交事項は「地方公共団体が当事者である不服申立及び訴訟に
関する事項」に該当し、地方公務員法55条3項ないしY市労使関係に関する条例に規定する管理運営事項に該当する旨主張す
る。
しかし、市は団交を開催して同命令に不服である理由を対面で説明し、これに対する組合の主張を聞くことも可能であり、本件
団交申入れは同命令について再審査申立てや取消訴訟を提起するか否かを団交で決定しようとするものではないのであるから、市
の主張は採用できない。
市はまた、①再審査申立てを行っているのであるから、現時点において市が同命令に従って団交を行う意思がないことは明らか
である旨、②中労委の施行通達や国会答弁によると、命令の履行は命令確定後になされることを前提としており、少なくとも救済
命令が確定しない間の不履行を違法と捉えることについては消極的であると解される旨、③仮に団交を行っても市は同命令に対す
る不服の理由を説明するだけのことであるが、説明しても形式的に行うにすぎず、実質的な交渉にならないことが明らかである旨
主張する。
しかし、労組法27条の12第4項及び第27条の15第1項の規定によれば、命令は交付の日から効力を生じ、中労委への再
審査申立てによって命令の効力は停止しないのであるから、市が再審査申立てを行ったとしても、同命令に従う義務があるので、
上記①及び②の主張は採用できない。
また、団交において使用者には誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する、いわゆる誠実交渉義務があるところ、団交を
開催する前から同命令に対する不服の理由を説明するのみとする、市の主張自体が誠実交渉義務に反するといえ、上記③に主張は
失当である。
以上のとおりであるから、市が本件団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとみることはできず、かかる市の対応は
労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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