労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第66号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第66号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y府 
命令年月日  平成27年1月23日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   申立人組合が、平成25年10月に大阪府労委が発した不当労働行為救済命令を直ちに履行することを要求事項として団交を申し入れたのに対し、被申立人府が本件団交事項は交渉事項ではないとして応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 同労委は府に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から平成25年11月5日付けで申入れのあった団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨   申立人組合の団交申入れに係る団交事項は、「1.府労委2012年(不)第43号事件命令をただちに履行すること」であり、このように単に府労委命令の履行を求めることは義務的団交事項には当たらないとの考え方もあるが、団交申入書の記載からすると、本件団交申入れは、労使間で問題を解決していく方向に転換し、正常な労使関係の再構築を図るために交渉することを目的として申し入れられたものと解することができ、当該事項は、団体的労使関係の運営に関する事項についての交渉を求めるものであり、義務的団交事項に当たるとみるのが相当である。
 被申立人府は本件団交申入れに応じない理由として、第一に、本件団交事項は未確定の上記府労委命令の即時履行を要求するもので、地方公務員法55条1項に規定する交渉事項である「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項」はもとより、その他の交渉事項にも該当せず、本来の交渉事項に該当しない旨主張する。
 しかし、本件団交申入れに関して組合には労組法が適用されるのであるから、地公法の上記条項に規定する交渉事項に該当するか否かは本件団交申入れを拒否する正当な理由を判断する根拠とはなり得ない。
 府は、第二の理由として、上記府労委命令の確定前にその実効性を確保するためには府労委による緊急命令の手続しかなく、その手続がとられていない状況で同命令の履行に関して組合が府に団交を求め、府がそれに応じないことを理由に本件申立てを行うことは、労組法の趣旨に反する旨主張する。
 しかし、労組法上に緊急命令等の救済命令の履行確保の制度があっても、合意できる事項を求めて労使で交渉することは労使間の自主的解決を基本とする労組法の理念にかなうものであることは明らかである。また、前記のとおり、本件団交申入れは単に同命令の実効性を確保するための手段として行われたものではなく、その問題を裁判所による手続のみに委ねるのではなく、その間も労使間の交渉による解決の道を探るために申し入れられたものとみることができるのであり、さらに、府は団交を開催して同命令に不服である理由を対面で説明することもできるのであるから、府の主張を認めることはできない。
 府は、第三の理由として、本件団交事項は府が提起している救済命令取消訴訟という争訟行為に関する事項であり、府がその判断と責任のもとに処理すべき事項であるから、地公法55条3項に規定する管理運営事項に該当し、交渉の対象とすることができない旨主張する。
 しかし、本件団交事項の趣旨は同命令に対する争訟行為を交渉によって決定しようとするものではないのであるから、本件団交事項は争訟行為に関する事項で管理運営事項に該当する旨の府の主張は失当である。
 以上のとおりであるから、府が本件団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとみることはできず、かかる府の対応は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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