労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第21号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第21号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成26年12月5日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社の専務が非組合員である事務職員に代わって同人のタイムカードを打刻した上、これに係る賃金及び一時金を会社が支払ったこと、②会社再建問題等に関する団交申入れに対し、会社が不誠実な対応をし、団交が開催されていないこと、③会社が組合員に対し、腕章着用を禁止したり、事務所に監視カメラを設置して監視したりしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社の専務が非組合員である事務職員に代わって同人のタイムカードを打刻した上、会社がこれに係る賃金及び一時金を支払ったことについて
 申立人組合は、会社が事務職員Y3に自由出勤・自由退社を認め、一時金の支給まで認めるなど過分な取扱いを行っている旨、また、同人がタイムカードを自分で打刻することなく、出勤前及び退勤後に専務Y1が打刻するなど不正行為を常態的に行い、不正な賃金請求を行っている旨主張する。
 認定した事実によれば、Y3は会社でただ1人の事務職員であること、就業規則の定めとは異なる勤務時間で就労していること、基本給も組合員と異なること、時間外手当が支給されていないことなどが認められ、組合員とは職務内容・契約形態が異なるといえる。また、Y3に対する一時金の支給について、会社が過分な取扱いをしていたとの事実の疎明はない。
 タイムカードの打刻については、Y1は組合員のタイムカードも代行で打刻したことがあり、その時間分についても賃金が支払われていたことからみると、会社が代行による打刻をある程度容認していたことが推認される。また、Y3が自分で打刻することなく、Y1が常態的に代行していたとまではいえない。
 以上のことからすると、会社が非組合員であるY3と組合員の間でタイムカードの代行打刻に伴う賃金及び一時金の支払において差別的な取扱いを行っていたとまではいえず、この点に係る組合の申立ては棄却する。
2 団交申入れへの対応について
 組合は、平成24年11月8日、12月4日、25年1月17日、2月14日及び3月22日に役員交代を含む要求や継続審議事項を団交議題として会社の社長Y2に対し、架電又は直接会社に出向いて団交申入れを行った旨主張する。
 しかし、上記の日に組合が会社に対して団交の申入れを行ったと認めるに足る事実の疎明はない。また、24年11月28日の団交申入れについては、会社が団交を受ける意思を示し、開催日程を提示するなどの対応をしている。したがって、会社が団交拒否を行ったとはいえず、また、かかる会社の対応をもって会社が支配介入を行ったとみることはできないから、この点に係る組合の申立ては棄却する。
3 組合員に対し、腕章着用を禁止するなどしたことについて
 組合は、平成24年11月19日及び20日にY2が会社事務所前駐車場と申立外会社A内において、組合員である申立外会社Bの従業員に対し、腕章を外すことを強要した旨主張する。
 しかし、会社は上記の両日にBに傭車を依頼しておらず、また、本件審問における組合側証人の陳述をみても、上記のような会社の行為が行われたと認めるに足る事実の疎明はないから、組合の主張は採用できない。
 また、監視カメラについては、そもそも会社が事務所に監視カメラを設置したと認めるに足る事実の疎明はない。認定した事実によれば、24年8月に会社及び申立外会社C(会社の親会社)の事務所があるプレハブ社屋にカメラが設置されたものの、それはプレハブ社屋の所有者であるCが防犯のために設置したものとみるのが自然であり、会社が主体となって組合員を監視するためのカメラを設置したとまでいうことはできず、組合の主張は採用できない。 
掲載文献   

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