労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ウェザーニューズ 
事件番号  都労委平成24年不第20号 
申立人  全国一般労働組合東京南部 
被申立人  株式会社ウェザーニューズ 
命令年月日  平成26年11月4日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①申立人組合支部の執行委員長を務めていた従業員X2を雇止めとしたこと、②組合員である従業員X3を降格としたこと、③X3を含む組合員3名の職務内容等を変更したこと、及び④団交における会社の対応、⑤X3との面談における会社従業員の発言が不当労働行為に該当するか否かが争われた事案である。
 東京都労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てのうち、平成23年3月2日における被申立人株式会社ウェザーニューズ従業員による発言に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 申立人組合支部の執行委員長X2の雇止めについて
 認定した事実によれば、X2と被申立人会社との雇用契約書には同人の業務としてOPA(航海報告書の作成・提供)と記載されていること、会社は業務再編に伴い、OPAチームをOSR(減速航海を含むコスト最適化を実現する運行計画の提供)を運営する部署に吸収させたこと、同人が担当していたスピードクレーム対応の専任業務が消滅したことが認められ、同人の雇用契約終了の理由がスピードクレーム対応業務吸収によるOPAチーム解散に伴うものであるとする会社の説明には一応の合理性が認められる。また、会社はX2に対し、新たな契約締結の提案を行っており、その内容も不合理なものとはいえないものであったこと等も併せ考えれば、本件雇止めが同人が組合員であるが故になされたもの、あるいは組合員を会社から放逐するためになされたものとみることはできない。
 組合は、新たな労働条件に関する協議を会社が一切拒否した旨主張する。しかし、本件においては、組合あるいはX2と会社との間で本件雇止め後の新たな労働条件について協議が行われたものの、双方の見解が対立して合意成立が困難な状況に至っていたものと評価せざるを得ず、会社が無理な条件を示しつつ、一切の協議を拒否することで新たな契約を結べないように企図したとする組合の主張は採用できない。
 したがって、X2が雇止めとなり、新たな契約が結ばれなかったことについて、同人が組合員であるが故になされた不利益取扱い、又は組合弱体化を企図した支配介入に該当するということはできない。
2 組合員X3の降格について
 X3は平成23年12月に人事評価の手続の一環として行われた上司との面談において個人目標を記載したMMCLと称するフォームを提出せず、同人にイエローカードが交付されていること、翌年3月の面談においてもMMCLを提出しなかったこと、X3の職格はSL3とされていたところ、その基準を充足させるために会社提案に基づき同人が作成したSOP(標準作業手順書)についても1頁のものしか提出していないこと、23年12月には5名の非組合員である従業員が降格されていたことなどが認められる。
 これらによれば、X3の降格理由が不自然ないし不相当とは認められず、その他、本件降格について、同人が組合員であること、又は組合に対する弱体化行為であることを裏付けるに足りる具体的事実の疎明はない。
 よって、本件降格について、X3が組合員であるが故になされた不利益取扱い、又は組合弱体化を企図した支配介入に該当するとはいえない。
3 X3を含む組合員3名の職務内容等の変更について
 組合は、会社が組合員3名を他の従業員と接触させないようグローバルセンター19階に隔離し、その担当業務を減らし、更にはトレーニング対象からも排除した旨主張する。
 しかし、非組合員である他の従業員も土曜日・日曜日及び祝日には同じ19階で就労していたことから、会社が殊更組合員に対してのみ、異なる処遇あるいは措置を執っていたとは認められない。また、確かに組合員3名の担当する業務量が減少しているが、これは会社の業務の一部がオクラホマの拠点に移管されたためであり、組合員以外の従業員の業務量も減少していることから、会社が組合員についてのみ殊更担当業務を減少させたとの事情は認められない。さらに、トレーニング対象からの排除に関しては、組合員以外の従業員においても受講対象にならなかった者が存在したことや、トレーニングの受講対象となる業務システムを使用する機会が組合員にあったとは認められないことから、組合の主張は採用できない。
4 団交における会社の対応について
 組合は、従業員が使用するIDカードストラップの色の統一について、会社は23年6月の団交において説明や回答ができたはずであるのに、24年1月の団交で組合が尋ねるまで一切回答しなかったことが不誠実である旨主張する。しかし、23年6月の団交では専らX2の契約条件という喫緊の課題についての交渉に終始し、組合がストラップの色の統一要求に言及しなかったため、会社も応答を行わなかったにすぎない。
 組合はまた、24年1月の団交における会社の態度は誠実なものではない旨主張する。しかし、ストラップの色の統一は、組合の団交申入れ以前に会社において決定されていたことが認められ、同団交における「ストラップの色の統一は、組合の要求に応じたものではない」との会社の回答について、事実と異なるものと評価することはできないから、会社の態度が不誠実であるとみることはできない。
5 X3に対する会社従業員の発言について
 組合は、23年3月2日の会社従業員Y2の発言を問題とするが、同日は本件申立てのなされた日から1年以上前であることが認められる。よって、当該発言に係る組合の申立ては、申立期間を徒過したものとして却下せざるを得ない。 
掲載文献   

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