労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  兵庫県労委平成25年(不)第9号 
事件番号  兵庫県労委平成25年(不)第9号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成26年11月20日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社のいわゆる100%孫会社に当たる申立外会社Zの従業員により組織されている申立人組合が会社に団交を申し入れたのに対し、会社がこれに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 兵庫県労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨   申立人組合は、被申立人会社が申立外会社Zに対して絶対的に優位な立場にあり、同社の労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったことから、会社が労組法上の使用者に該当すると主張する。
 確かに、Zは会社の100%孫会社であること、役員は全て会社の管理職及び出身者で構成されていること、会社が唯一の取引相手であること等からすると、会社がZに対して一定の影響力があることは認められる。しかし、会社のこうした影響力が直ちに、会社がZの従業員の基本的な労働条件等についてZと部分的とはいえ同視し得る程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができることを意味するものではなく、そのことを認めるに足る疎明もない。
 組合はまた、会社のみを顧客とする完全専属下請会社であるZは独立した自由な経営が現実に阻害されており、その法人格は形骸化しているか又は会社によって濫用されているが故に、会社が労組法上の使用者であると主張する。しかし、Zは、従業員6人を擁し、特許出願関連業務等を行い、人事関係を含む業務全体に関する経営事項について、取締役会や取締役及び監査役を構成員とする経営会議における合議で意思決定されており、独立の法人としての実体を有するものであることが認められる。よって、Zの法人格が形骸化しているとはいえない。
 また、法人格の濫用が認められるためには、会社が組合を排除するなどの違法又は不当な目的をもって法人格を利用している場合である必要がある。組合は、Zの法人格の形骸化を根拠づける事実を主張することによって、会社が不当労働行為責任を回避するためにZの法人格を濫用しているとの主張を同時に行っていると解されるが、上記のとおり、Zの法人格は形骸化していないのであるから、組合の主張には理由がない。
 以上のとおりであるから、会社は労組法上の使用者に該当しないと判断する。 
掲載文献   

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