概要情報
事件名 |
ヤマキ |
事件番号 |
滋労委平成25年(不)第1号 |
申立人 |
滋賀県労連・滋賀一般労組 |
被申立人 |
株式会社ヤマキ |
命令年月日 |
平成26年11月5日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
①被申立人会社が従業員である組合員X2を一般営業部門からリフォーム部門に配置転換したこと、②給与制度の見直し等を要求事項とする団交における会社の不誠実な対応、③会社の役員の組合員に対する威圧的な発言は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
滋賀県労委は会社に対し、組合に対する誠実な説明、交渉の実施(上記②関係)及び文書の手交・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対し、営業手当が時間外労働手当の趣旨であるとする主張を根拠づける資料を示して誠実に説明し、それが不可能な場合には講じ得る解決策などにつき誠実に交渉しなければならない。
2 被申立人は、本命令書受領後2週間以内に、下記内容の文書を申立人に手交するとともに、同文書を縦80センチメートル、横55センチメートル大の白紙に、楷書で明瞭に記載して、被申立人の会社食堂掲示板に、10日間掲示しなければならない。
記(省略)
3 その余の申立を棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X2の配置転換について
認定した事実によれば、申立人組合支部(被申立人会社の従業員により結成されたもの)の支部長を務めていたX2に対する本件配置転換は、必ずしも無意味な仕事や懲罰的な仕事に従事させたものではなく、それ自体として不利益なものであるとは言い難いが、経済面等において一定の不利益が伴っていたことが認められる。しかし、本件配置転換がX2による支部の結成又は活動を理由としたものであるか、あるいは合理的な理由によるものであるかに関しては、人事上の措置としてはその必要性・合理性に疑問も残るものの、会社が同人の組合活動等の故をもって本件配置転換を行ったと認めるに足る証拠は不十分であると判断せざるを得ない。
したがって、本件配置転換が労組法7条1号に該当するとの組合の主張には理由がない。
2 団交における会社の対応について
第4回団交及び第7回団交における会社の対応は、インセンティブ制度(一般営業部門の従業員に対し、毎月の目標を達成した場合に報奨金を支給するもの)の見直しの要求に関しては不誠実な対応であったとは認められないが、「営業手当」と25時間分の時間外手当の関係(組合が時間外手当の未払分の支払を要求したのに対し、会社は「営業手当」が25時間分の時間外手当に相当するなどと説明していた。)については、その根拠資料及び説明内容の不十分さ等において不誠実な対応であったことが認められる。
3 会社の主任Y2(取締役)の発言について
Y2が組合員X3の組合加入及び活動に対して干渉的な発言をしたこと、及びその内容は単にY2の個人的感情の発現というにとどまらず、組合支部の活動を嫌悪したものであり、その弱体化を意図したものであったことが認められる。このようなY2の言動は、会社による行為として組合支部の結成・運営に対する支配介入に当たる。そして、同人は会社における労務管理に一定の影響力を持っており、その立場を利用して本件支配介入行為を行ったものと認められるから、当該行為は使用者に帰責できる。 |
掲載文献 |
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