労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第37号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第37号 
申立人  X労働組合 
被申立人  学校法人Y 
命令年月日  平成26年10月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人法人で非常勤講師として勤務していたDは、法人から雇止めを通知された後、申立人組合に加入し、組合と法人との間でこの雇止め通知に係る団交が行われた。本件は、法人が①雇止め通知以降に雇止めを回避できる客観的な事態が生じたにもかかわらず、非組合員である派遣講師を新たに受け入れて、Dの雇止めを強行したこと、②団交において誠実に対応せず、Dの労働条件の変更について真摯な協議を行わなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 本件雇止めはDが組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、申立人組合に対する支配介入に当たるか
 認定した事実によれば、本件雇止めは組合員Dが組合に加入する前から被申立人法人がとってきた、非常勤講師を減らして常勤講師等を増やしていくとの方針に基づくものであるといえる。しかし、本件雇止めの期日前にDが組合に加入し、団交申入れが行われている本件においては、雇止めを撤回すべき特段の事情があるのに撤回しないような場合には、本件雇止めが不当労働行為に該当する可能性は否定できない。
 この特段の事情について、組合は、①他校での授業と掛け持ちをしているDの時間割が組みにくいという点につき、組合が団交で最大限の譲歩案を提示していたこと、②本件雇止め通知後、別の非常勤講師の雇止めによって授業のコマ数に空きが生じたことを挙げ、Dの雇止めに理由がなくなった旨主張する。
 しかし、①に関しては、法人の上記のような方針を不当とはいえず、また、法人が組合の提案を受け、その方針を変更する義務はないのであるから、組合の提案により本件雇止めに理由がなくなったとはいえない。また、②に関しては、授業のコマ数に空きが生じた場合にこれをどのように補充するかは法人の裁量に委ねられており、このような状況が生じたからといって、本件雇止めを撤回すべき義務が生じるとまではいえない。また、本件雇止めが撤回されなかったのは、Dが組合に加入し、団交を行ったことを法人が嫌悪したためであると認めるに足る具体的な疎明もない。
 以上のことから、法人には本件雇止めを撤回すべき特段の事情は認められず、本件雇止めが組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとはいえない。
 組合はまた、①法人は労働者派遣法に反し、非組合員である派遣講師に授業を担当させることでDを排除するとともに、②非常勤講師の授業担当時間数は週12時間以内を標準とするとの法人の内規に反して、非組合員である他の非常勤講師を優遇した旨主張する。
 しかし、①に関しては、前述のとおり、そもそも法人に本件雇止めを撤回する義務が生じるとはいえないところ、非組合員である派遣講師に授業を割り当てたことがDを排除するためのものであるとの主張を認めるに足る疎明はない。また、②に関しては、従前から法人の内規どおりの運用はなされていないことが認められ、今回、法人が内規に反して非組合員である非常勤講師を不当に優遇したとまでは認められない。
 以上のとおりであるから、本件雇止めが労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。
2 団交における法人の対応について
 組合は、法人が団交で①新規に非常勤講師を雇い入れることはないと回答したにもかかわらず、新たに派遣講師を導入したこと、②担当する教員が不足した場合には非常勤講師に対する雇止め通告を撤回したことが何度もある旨述べたにもかかわらず、結局、Dの雇止めを行ったことは、組合を欺いたものである旨主張する。
 しかし、①に関しては、派遣講師に授業を割り当てることは法人の裁量の範囲内の行為である上、法人がその団交時に、次年度更新予定であった非常勤講師のうち1名を当年度限りで雇止めとし、派遣講師を導入するという事態を予測していたと認めるに足る疎明もないのであるから、組合を欺いた旨の主張は採用できない。また、②に関しては、法人の発言をみると、その内容自体が虚偽で不当であると断じることはできず、本件雇止めを撤回する約束をしたとも認められないのであるから、かかる発言があったことを捉えて不誠実団交であったとまではいえない。
 組合はまた、法人が団交に必要な資料の開示を拒否したとして、このような対応は誠実団交義務を果たすものではない旨主張する。しかし、組合が継続雇用予定の非常勤講師4名にDも加えて5名でコマ数を分け合うことで解決する旨述べ、当該4名の持ちコマ数を記載した資料の開示を求めたのに対し、法人はDへの割当てそのものに譲歩できない姿勢を示し、議論が平行線になっていたといえるのであるから、法人がその資料を提示しなかったことをもって不当とまではいえない。
 以上のとおりであるから、本件団交における法人の対応が労組法7条2号及び3号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。 
掲載文献   

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