事件名 |
都労委平成24年不第2号 |
事件番号 |
都労委平成24年不第2号 |
申立人 |
X3私立学校教職員組合連合、X4大学X5専門学校教職員組
合、X1(個人)、X2(同) |
被申立人 |
学校法人Y |
命令年月日 |
平成26年9月16日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人X1は、被申立人法人の設置する専門学校で専任講師を務め
る一方、申立人組合の執行委員長等の役職を歴任していた。また、申立人X2は、上記学校で事務職員として勤務する一方、組合
の執行役員等を務めていた。X1及びX2(以下「X1ら」)は、60歳の定年により平成20年3月31日付けで法人を退職
し、それ以後、法人と1年ごとの再雇用契約を締結し、それぞれ嘱託教員、嘱託事務職員として勤務していた。組合と法人との労
使協定によれば、X1らの再雇用は64歳に達した年度末の24年3月31日をもって終了することになっていた。法人は、この
ことを踏まえ、23年9月、X1らに対し、24年3月31日付けで再雇用が終了する旨を伝えた。組合は、X1らに対する解雇
通告の撤回等を議題とする団交を法人に申し入れた。
本件は、法人が①X1らの雇用継続を拒否したこと、②上記の団交について、別件の東京都労委命令の判断を待ってから対応を
検討することなどを理由に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
同労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X1らに対する雇用継続の拒否について
申立人組合と被申立人法人が締結した労使協定第4条によれば、専門学校の職員は60歳定年後も一定の条件を満たせば法定義
務化年齢まで再雇用されることになっていた。組合らは、上記の再雇用終了年齢で法人との雇用関係が終了するとは考えておら
ず、労使協定は最低65歳までは再雇用するということを規定したと主張するが、組合と法人の間でのそのような合意の存在を認
めることはできない。
組合らは、労使協定締結後も、計7名の教職員が上記の再雇用年齢を超えて雇用されていたのであるから、X1らの雇用を継続
すべきである旨主張する。しかし、当該7名は平成18年4月1日時点で60歳以上であったため、労使協定第1条に定める同協
定の対象者に含まれないことが明らかであるから、組合の主張には無理があるといわざるを得ない。
法人は、労使協定に基づき、21年度末をもって組合員X3の雇用を終了すると同時に、64歳以上の教職員、すなわち60歳
到達後1年契約を反復更新してきた上記7名を一斉に退職させ、労使協定で定める再雇用期間との均衡を図っており、また、24
年3月31日をもってX1らのみならず、非組合員であるH教員の雇用を終了させている。このように、法人の取扱いは、組合員
と非組合員とを区別せず、労使協定の定める再雇用期間を一律に適用したものと認められ、法人の真の目的が組合員であるX1ら
を排除することにあったと判断するに足りる事実は認められない。
組合らは、組合らが申し立てた別件事件(都労委21不41号、21不110号及び22不52号)に係る命令が発出されるこ
とが明らかな時期に法人がX1らの雇用継続を拒否したことは、新たな不当労働行為を惹起し、不当労働行為を継続する意思の表
明にほかならないと主張するが、上記判断のとおり、当該拒否は反組合的な意図によるものとはいえないのであって、たまたま別
件命令の時期と重なったものとみるほかはない。
以上のことから、X1らが24年4月1日以降法人に雇用されなかったことは、同人らが組合員であるが故の不利益取扱い又は
組合運営に対する支配介入に当たらない。
2 X1らの雇用継続問題に関する団交について
組合らは、法人がX1らの雇用継続問題について「同じ事案が、都労委で問題になっている」ことを理由として団交を拒否した
ことには正当な理由がないと主張する。
この「同じ事案」とは上記の別件事件を指すものであるところ、本件におけるX1らの雇用継続問題と別件におけるX3の雇用
継続問題とでは、再雇用終了の時期や対象者が別であり、法人が組合に回答した上記のような理由は団交を拒否する正当な理由に
は当たらないというべきである。しかし、本件においては、その後団交において本件雇用継続問題について一定のやり取りが行わ
れており、その際の法人の対応についてはやや具体性に欠けるきらいがなくはないが、組合らの対応の仕方も考慮すると、不誠実
な交渉態度ひいては団交拒否と評価するのは相当でない。
したがって、法人がX1らの雇用継続に関する団交について、別件命令の判断を待って対応を検討する旨表明したことは、正当
な理由のない団交拒否又は組合運営に対する支配介入に当たらない。 |
掲載文献 |
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