労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第33号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第33号 
申立人  X労働組合 
被申立人  学校法人Y 
命令年月日  平成26年9月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①短大の専任教員である組合員Gが行った補講が法人の定める規程等に違反するとして、同人を譴責処分としたこと、②Gが希望する四年制大学への人事異動を行わなかったこと、③これらを議題とする団交において誠実に対応しなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 組合員Gに対する譴責処分について
 認定した事実によれば、被申立人法人は、組合員Gが平成24年6月27日の3時限目にABクラスとCDクラスの補講を同時に実施したことが法人の補講規程4条3項1号の「授業時間割に設定している授業科目ごとに実施すること」に違反するとともに、同人が23年12月に申し立てた労働審判事件において成立した調停の和解条項にも違反し、その情は重いとして、就業規則の規定に基づき本件譴責処分を行ったものと認められる。
 申立人組合は、補講規程等にいう「授業科目」が本件補講については「英語」なのか、「英語A・B」、「英語C・D」なのかが不明であり、補講規程等の定義があいまいであることを法人も認めているなどとして、本件補講は補講規程等に違反するものではない旨主張する。
 しかし、Gが平成23年度のCDクラスの補講において本件補講と同様の対応をしたことが問題視されて懲戒処分の検討がなされた結果、上記調停が成立し、これを受けて補講規程が定められたという経緯からみても、上記の規定は元々の授業時間割の区分けどおりの補講実施を求めるものとみるのが自然な解釈である。また、補講規程等の定義があいまいであることを法人も認めたとの主張については、これを認めるに足る事実の疎明がない。
 したがって、組合の主張は採用できず、法人がGに懲戒処分を科したことには相応の理由があるといえる。また、本件譴責処分が、Gが組合員であることや組合活動を理由になされたものであることを認めるに足る事実の疎明もない。以上から、本件譴責処分は労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。
2 Gに対し、四年制大学への人事異動を行わなかったことについて
 組合は、法人が本件調停条項に同意し、平成25年度以降においてGを四年制大学に人事異動させることを前向きに検討すると約しておきながら異動させないことは、同人の学問的及び社会的評価に不利益をもたらすものであって、組合員であるが故の不利益取扱いである旨主張する。
 しかし、法人が上記のような検討を約したことが、法人に対して同年度におけるGの人事異動を義務付けるものではないことは明らかである。また、法人には人事異動についての一定の裁量権がある中、Gを25年度に異動させるだけの必要性を検討の結果、見出せなかったという法人の主張を不当とまではいえない。
 その他、Gが組合員であるが故に四年制大学に異動させなかったと認めるに足る事実の疎明はない。したがって、かかる法人の対応は、Gに対する不利益性を判断するまでもなく、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらない。
 次に組合は、法人がその一方で非組合員2名を四年制大学に異動させていることが組合員を差別するものである旨主張する。しかし、法人は25年4月1日、四年制大学に新学科を設立したのに伴い、同学科の専門科目の担当教員を配置する必要性等から、短大の教育職員2名を選考して異動させたものであるところ、これには相当の理由があり、Gを不当に選考から排除したとまではいえない。
 以上のとおりであるから、法人が25年度にGを四年制大学に異動させなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとも支配介入であるともいえない。
3 団交における対応について
 組合は、法人が、組合との間で補講規程等の解釈に違いが存在することを認めながら、組合が納得できる合理的な説明を行うこともなく、法人の解釈を一方的に述べるだけであったことなどが誠実団交義務を果たすものではない旨主張する。
 しかし、法人は本件譴責処分に係る団交において本件補講が補講規程等の定めに反していたことについて、補講規程等の解釈を含め説明していたものと解され、かかる法人の対応は不誠実とはいえない。
 組合はまた、法人が団交において、Gを四年制大学に異動させられない理由として定員オーバーしているからと繰り返すばかりで、大学政策枠についての説明をせず、また、教員人件費率、短大から四年制大学へ他の専任教員を人事異動した事実を明らかにしなかったため、団交で協議できなかったことが不誠実団交に当たる旨主張する。
 しかし、団交において法人は、Gを四年制大学に異動させられない理由について、組合が納得していないとしても、四年制大学・短大の教員定数の現状と法人の方針から一定の説明をしているとみることができる。そして、法人が教員定数のガイドラインを守る旨主張したのに対し、組合が財政基盤等がしっかりしていれば20人になろうが30人になろうが問題ない旨主張し、議論が平行線になったとみるのが相当であって、大学政策枠や人件費等まで議論が及ばなかった原因が法人にのみあったとはいえない。また、組合は、新学科の人事等について何ら説明を求めておらず、他の専任教員の人事異動について議論が及ばなかった原因も法人にのみあったとはいえない。
 以上のとおり、法人は組合の主張に対応して、一定の根拠を示し協議を行っているのであるから、不誠実とまでいうことはできない。 
掲載文献   

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