労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成25年(不)第20号 
事件番号  大阪府労委平成25年(不)第20号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成26年8月19日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①組合員Cの勤務態度に関するアンケート調査を行ったこと、②それを知った申立人組合が説明・謝罪を求めた団交において、会社が当該アンケート調査を行った事実を否定する虚偽の回答を行ったこと、③その後、会社が中労委に提出した書証を組合が受け取って当該アンケート調査が行われたことを知り、組合がこれに抗議し、謝罪を求めて開催された団交において、会社が不誠実な対応をしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、上記③の団交の誠実応諾及び文書の手交・掲示を命じ、その余の申立てを却下した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の平成25年3月8日付けの団体交渉申入れに対し、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、横1メートル×縦2メートル大の白色板に同文を明瞭に記載して、被申立人Yの(住所)所在のZ工場の正面玄関付近の従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
記(省略)

3 申立人のその他の申立てを却下する。 
判断の要旨  1 本件アンケート調査及び平成24年2月開催の団交に係る申立てについて
 平成23年4月に行われた組合員Cに関してのアンケート調査に係る申立て及び24年2月開催の団交に係る申立ては、行為の日から1年を経過した後のものであるから、その余を判断するまでもなく、却下する。
2 平成25年3月19日の団交における会社の対応について
(1)団交の議題が義務的団交事項に該当するか否か
 被申立人会社は、25年3月19日の団交で議題とされた事項は過去の事実の確認にすぎないもの等であって、義務的団交事項に該当しない旨主張する。しかし、申立人組合が同月8日に提出した抗議申入書での要求事項は①アンケートをとったことへの謝罪、②24年2月開催の団交で虚偽の回答を行ったことへの謝罪、③組合活動への不当な介入を今後一切行わないことの約束、④団交で虚偽の発言を行わないことの確約であるところ、②、③及び④は労使関係に関するもので義務的団交事項といえる。また、会社が中労委に提出した会社工場長Dの陳述書に、本件アンケート調査はCの給料等が従業員平均よりも低いのは組合員である故であるとの主張を受けて、同人の勤務ぶりを把握するために実施したものである旨の記載があり、その設問が「組合活動をするC氏を(略)どのように(どのような存在と)見ていますか(どのように考えていますか)」となっていること等からすれば、本件アンケート調査はCの賃金に影響を与える勤務評価に密接に関係したもので、同人の労働条件に関する事項ということができるから、①も義務的団交事項に当たるといえる。
(2)団交におけるDの発言等
 本件アンケート調査の対象者数についての24年2月開催の団交、上記中労委陳述書、本件団交等でのDの発言・記載をみると、一貫しておらず、変遷しているといえる。会社には、本件アンケート調査に係る事実関係をできるだけ明らかにして説明する責任があるところ、Dは十分な説明をしておらず、団交での回答として不誠実なものであったといえる。
 次に、Dは、中労委陳述書には会社の課長Eに指示してアンケートを配付させ、調査を実施したと明確に記載しているのに対し、本件団交では、Eに指示した時点ではCの評判について聞いてみたらと言ったにすぎず、アンケートをとれとまで、口頭か紙かも指示していないと述べており、中労委陳述書の内容と明らかに矛盾している。Dはこの点について、中労委陳述書は事実を遡って書いただけで嘘はついていないと組合に説明しているものの、この発言もおよそ合理的な内容とは認められない。
 また、Dは本件団交において、アンケートをEが回したのか総務が回したのかは分からない旨述べているが、本件アンケート調査がどのように実施されたのかについては会社側唯一の団交出席者であるDが事前に把握し、説明すべき事項であるから、上記Dの発言は団交での回答として不誠実なものであったといえる。
 以上のことからすると、本件団交において、会社は本件アンケート調査について終始事実を曖昧にした説明を行っており、その経緯等について誠実に説明したということはできず、かかる会社の対応は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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