労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本郵便(宇品郵便局) 
事件番号  広労委平成25年(不)第1号 
申立人  広島連帯ユニオン 
被申立人  日本郵便株式会社 
命令年月日  平成26年8月8日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   X2は、被申立人会社の宇品郵便局で主に夜勤の配達業務に従事していたが、平成23年1月頃から体調の異変が生じ、同年7月1日、医師から糖尿病等と診断された。同人は、日勤勤務は体力的に厳しいこと等から、夜勤のみの勤務にしてもらおうと考え、同日及び7月4日の2回にわたり、上司である局課長Y2に診断書(夜勤勤務を続けることが望ましいなどと記載されたもの)を手交した。Y2は産業医に相談する必要があると考えていたが、夏期の繁忙期に入ったこともあり、産業医と連絡が取れたのは同年9月5日であった。X2は、同月12日、申立人組合に加入し、組合は同月21日、会社に対し、団交を申し入れたが、会社は、X2本人から組合員であることの確認を得た上で対応したい旨回答した。組合は、24年1月、会社が団交に応じることを求めて、広島県労委に不当労働行為救済申立てを行った。同年9月、組合と会社との間で和解協定が締結され、本協定締結後、X2の服務を夜勤のみとすることの要否等を議題とする団交を速やかに実施することなどが協定書に記載された。
 本件は、この和解協定書に基づき実施された2回の団交における、上記診断書が提出から2か月間放置された経緯及びその責任の所在に係る会社の対応は不誠実であり、不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 広島県労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社の本件診断書に関する取扱いは、和解協定書で定めた議題に含まれるか
 和解協定書の文言によれば、本件診断書の取扱いは団交の本題そのものとはいえない。また、その取扱いを解決しない限り、本題について交渉することができないといった、本題の前提事項となるものであるともいえない。しかし、本件診断書は、本題である組合員X2の服務を定めるについて重要な資料の1つであるから、その取扱いは本題に密接に関連する事項である。したがって、会社は本件診断書の取扱いを明らかにするよう求める申立人組合の主張に対しては、誠実に対応しなければならないと解される。ただし、対応の程度は、本題の交渉を進めるに当たり必要な程度で足りる。
2 2回の団交にかかわる、会社の組合に対する発言、提出書面等は、誠実な交渉態度といえるか
 認定した事実によれば、第1回団交において会社は組合からの質問に対し、本件診断書の提出を業務企画室が知った時期、提出後の対応を決定する権限の所在及び提出後の対応状況について答えている。これらの事情に照らせば、会社の交渉態度は不誠実なものとはいえない。
 また、本件診断書の取扱いを文書で回答するよう求める組合に対し、本件診断書が提出されてからの経緯について連絡書で文書回答している。連絡書の記述は、組合が主張するところの、ねつ造とはいえないものであり、仮に組合の認識や期待に沿うものではないとしても、本題の交渉を進めるに当たって必要とされる程度の説明は行われていると認めることができる。
 さらに、会社は、第2回団交後、「回答及び意見書」において、組合に対し、本題について交渉するよう強く申し入れるとともに、組合が本題以外の事項について交渉を繰り返しているため、ますます事案の解決が遅れている旨述べているが、かかる会社の対応は、和解協定書の趣旨に沿うものであるから、誠実交渉義務に反するものではない。
 以上のとおり、会社は、本件診断書の取扱いについても団交の場や文書で回答を行っており、本題の交渉を進めるに当たり必要とされる程度の説明は行われていると認められる。よって、会社の対応は不誠実なものであるとはいえない。 
掲載文献   

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