労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  トーコー等 
事件番号  神労委平成22年(不)第2号 
申立人  神奈川シティユニオン 
被申立人  株式会社ゼンショーホールディングス、株式会社GFF 
命令年月日  平成26年8月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   申立外会社Aの従業員であったX2、X3及びX4は、被申立人会社Yに派遣され、その工場で就労していた。このうちX3及びX4は、平成21年9月30日、Aから雇止めの通知を受け、申立人組合に加入した。また、X2は同年5月22日以降、病気のため、休職していたが、同年10月13日、組合に加入した。
 本件は、Yが①組合員X2ら3名の労働問題についての団交要求に対し、業務多忙を理由として回答を延期したこと、②X2ら3名と雇用関係にないこと及びAとの労働者派遣契約の終了を理由に団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。なお、本件申立て後、Yから食材加工工場等に関する資産を譲渡された会社Z(Yの完全子会社)が被申立人に追加された。
 神奈川県労委は申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社Yは組合員X2ら3名との関係において労組法7条2号の使用者に当たるか否か
 申立人組合は、組合員X2ら3名の労働問題に関する団交をそれぞれ別々にY及び申立外会社Aに申し入れているが、そこでの団交要求事項はいずれもこれら組合員に対する雇用責任に関することであった。しかし、X2ら3名と雇用契約関係にあったのは、YがX2を直接雇用した平成20年3月15日から同年8月31日までの間を除き、Aであったことは、明らかである。
 また、YがX2ら3名との間に、近い将来において労働契約関係が成立する現実的かつ具体的な可能性があったか否かについてみると、Yは21年春先に派遣社員を直接雇用する方針を決定し、同年11月までの間に段階的に直接雇用を進めたが、X2ら3名は「住居を自分で確保する」との直接雇用の条件を満たさなかったこと、あるいは病気のため就労可能ではなかったことにより、直接雇用の対象にならなかったことが認められる。したがって、X2ら3名とYとの間に、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が現実的かつ具体的に存在していたとはいえず、Yの使用者性は認められない。
 次に、派遣先であるYに、X2ら3名に対する雇用契約申込義務(労働者派遣法40条の4)が発生していたか否かについて検討する。X2に関しては、同人が21年5月22日から就労していなかったため、Yは同人がAを退職したものと認識していたことから、抵触日(派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日)以降も継続して使用しようと思うはずもなく、同人に対する雇用契約申込義務は発生していない。X3及びX4に関しては、同人らに係る団交申入れの時点で両名の抵触日はまだ到来しておらず、Yの雇用契約申込義務の発生を論じる余地はない。
 以上のことから、YはX2ら3名との関係において労組法7条2号の使用者に当たるとはいえない。
2 被申立人会社ZはX2ら3名との関係において労組法7条2号の使用者に当たるか否か
 Zは、平成23年12月1日にYが100パーセント出資して設立した同社の完全子会社で、X2らが就労していた工場を含む同社所有の食材加工工場に関する資産の一切を同社から譲り受けていたことが認められる。
 しかし、前記1で判断したとおり、YはX2ら3名との関係において労組法7条2号の使用者に当たるとはいえないのであるから、Zも使用者に当たるとはいえない。
3 不当労働行為の成否
 前記1及び2で検討したとおり、Y及びZはX2ら3名との関係で労組法7条の使用者に当たるとはいえず、組合の主張は採用できない。 
掲載文献   

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