概要情報
事件名 |
日本精工 |
事件番号 |
神労委平成24年(不)第25号 |
申立人 |
神奈川シティユニオン |
被申立人 |
日本精工株式会社 |
命令年月日 |
平成26年7月10日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が、同社工場で派遣社員として勤務していた外国人労働者である組合員12名の雇止め等についての団交の申入れに対し、組合員らとの間には雇用関係が存在していないなどとして応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
申立人組合は、組合員らに対する被申立人会社の「採用の関与」、「賃金の事実上の決定」及び「就労態様の決定」について一定の肯定的判断がなされる場合には、黙示の雇用関係が認められるから、会社は労組法上の使用者に当たる旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、組合員らは派遣元会社の派遣社員であり、会社との間に直接の雇用関係はない。また、本件に関しては、派遣元会社が審査の全過程を通して全く関与していなかったこともあり、組合の主張する会社の「採用の関与」、「賃金の事実上の決定」及び「就労態様の決定」について、これらの事実を示す具体的な立証はなされていない。したがって、会社と組合員らとの間に黙示の契約が成立したか否かを問題とするまでもなく、組合の主張は認められない。
組合はまた、会社は組合員らの労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあり、労組法上の使用者に該当し、会社には団交応諾義務があると主張する。これについては、団交事項が当該労働者の基本的な労働条件等であって、派遣先会社がそのような労働条件等について部分的とはいえ現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にある場合には、その限りにおいて、当該労働条件等について使用者性を認め、団交応諾義務を負うべきであるといえる。
しかし、認定した事実によれば、組合の要求事項はいずれも組合員らの就労状況や事実関係の確認を求めるものであり、組合員らの労働条件等を交渉事項としているものではない。したがって、会社について、組合の求めに応じて任意に説明する機会を設けることはともかく、団交要求に対する応諾義務があるとまではいえない。
以上のとおり、組合が申し入れた事項は会社が応ずべき団交事項に当たらないことから、会社が雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあったかどうかを問題とするまでもなく、会社に団交応諾義務はなかったと判断する。
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掲載文献 |
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