概要情報
事件名 |
ケアサービス |
事件番号 |
都労委平成24年不第76号 |
申立人 |
東京管理職ユニオン |
被申立人 |
株式会社ケアサービス |
命令年月日 |
平成26年5月13日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
①組合員X2の勤務不良を理由とする降職・減給等に係る2回の団交における被申立人会社の対応が不誠実な団交に当たるか、②第3回団交の後、申立人組合が上記の事項に加え、X2の病気欠勤からの復職、同人に対する懲戒解雇等を協議事項として6回にわたり行った団交申入れに会社が応じなかったことは正当な理由のない団交拒否に当たるかが争われた事案である。
東京都労委は会社に対し、文書の交付・掲示及び履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社ケアサービスは、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人東京管理職ユニオンに交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員らの見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
記
年 月 日
東京管理職ユニオン
執行委員長 X1 殿
株式会社ケアサービス
代表取締役 Y1
当社が、平成24年8月7日、9月7日、同月19日、同月25日、10月18日及び11月13日に貴組合の申し入れた団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
2 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
3 その余の申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 第1回及び第2回の団交における対応について
認定した事実によれば、第2回団交の後、申立人組合が被申立人会社に対し、会社のマネージャーY3が第1回団交で約束していた会社常務Y2の出席が履行されなかったこと及び会社の回答が組合の要求していた期限よりも遅れたこと等に抗議し、Y3が謝罪したことが認められるが、会社が団交においてY2の出席や回答期限を約したことを裏付けるに足りる事実の疎明はなく、会社が労使で確認した事項を履行せず、回答を遅延させるなどの不誠実な対応を行ったとまではいえない。
2 第3回団交の後の団交申入れへの対応について
平成24年8月7日付けの団交申入れに対し、会社は団交についての回答猶予と主治医からの情報提供の同意を求める回答書を提出した。しかし、既に産業医の面談が実施されており、同月1日開催の第3回団交で会社が組合員X2の復職の判断時期や前提条件の有無について2週間後に回答することを言明していた中で、更に主治医からの情報提供を求めることを理由に団交の猶予を求める必要性や妥当性は認め難い。
同年9月7日付けの団交申入れに対し、会社は同月11日にX2に休職を命じたこと及び組合の団交申入れは前提を欠くので応じないことが記載された回答書を提出した。しかし、X2に休職を命じることはすなわち同人に復職を命じないことであり、会社は組合の復職の要求を拒否するのであるから、団交に応じてその理由を説明する義務と必要性が以前にも増して強くなっているのであって、団交申入れに応じる必要がなくなったとはいえない。
同年10月18日付けの団交申入れに対し、会社はX2の経歴詐称に関する懲戒判断が出るまで、同人の復職に関する団交の保留を求める回答書を提出した。しかし、懲戒処分はその内容によっては復職と相いれないものではないし、処分時までのX2の処遇の是非を巡る話合いの必要性もあったのであるから、処分決定時期を明示しないままの団交の保留は不誠実といわざるを得ない。
以上のとおりであるから、組合の申し入れた団交に対する会社の対応は正当な理由のない団交拒否に当たる。 |
掲載文献 |
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