労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第75号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第75号 
申立人  X労働組合、Z労連関西地方連合会、X1ほか4名(個人) 
被申立人  生活協同組合Y 
命令年月日  平成26年5月27日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人生活協同組合が申立人組合の組合員5名(申立人)を解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、1 組合員5名の解雇がなかったものとして取り扱うこと等、2 組合及び申立人各人への文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X3、同X4、同X5、同X1及び同X6のそれぞれに対し、平成24年6月30日付けの同人らの解雇がなかったものとして取り扱うとともに、解雇の日の翌日から就労させるまでの間、同人らが就労していれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人X労働組合及びZ労連関西地方連合会に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  X労働組合
   執行委員長 X1 様
  Z労連関西地方連合会
   執行委員長 X2 様
生活協同組合Y
代表理事 Y1
   当協同組合が、貴労働組合の組合員X3氏、同X4氏、同X5氏、同X1氏及び同X6氏を解雇したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 被申立人は、上記1の申立人のそれぞれに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略)
 
判断の要旨  1 本件解雇は整理解雇であるとの主張について
 被申立人生活協同組合Yは、本件解雇は整理解雇であって、人員削減の必要性があり、経費削減などの解雇回避努力を続けており、人選基準も合理性があり、労使協議の経過手続も相当である旨主張する。
 しかし、認定した事実によれば、Yの供給事業(購買)の営業状態は良いとはいえず、ある一定の経費削減努力が行われていたとはいえるものの、本件解雇は、人員の削減を直ちに必要とするほどの業績の急激な悪化を理由とし、十分な解雇回避努力がなされた上で、高い緊急性と必要性のもとに決定されたものであるとみることはできない。また、人選理由についてみても、Yが主張する人選理由は明確で合理的な基準のもとに決められ、運用されたものであるとはいえず、さらに、Yは申立人組合及び組合員らに対し、本件解雇に係る適切な説明や誠実な協議を行おうとしていたとみることはできない。
 したがって、本件解雇が整理解雇である旨のYの主張は採用できない。
2 Yの組合嫌悪の有無について
 認定した事実によれば、第1回団交においてYの理事長Y1は、組合の上部団体と特定の政党との関係について、組合が否定しているにもかかわらず執拗に追及し、一方的に組合と特定政党とを結び付けた上、具体的な根拠なしに組合及び組合員らを誹謗しているといえる。また、Y1が組合を特定の政党と関係のある組合として、その役員名簿を警察署に提出するなどと発言したことは、組合及び組合員らに対する威嚇であるとみるほかない。
 また、Yは、組合の回答書に虚偽の記載があるとして繰り返し説明や謝罪、撤回を求め、団交の公共施設での開催と費用の労使折半を終始主張し、本件解雇に至るまで団交に応じなかったことが認められる。これらのことからすると、Yは組合及び組合員らをYと敵対する存在であるととらえているといえる。
 さらに、第3回団交においてY1は、組合員5名を解雇の対象として指名した最大の理由は同人らが「嘘をついた」ことである旨述べているが、これは組合員らを根拠なく誹謗し、組合活動を抑圧するものといえる。
 これらのYの対応は、組合結成当初から、Yが組合及び組合員5名を好ましからぬ存在として認識し、嫌悪して、排除しようとしていたと判断するのが相当である。
3 結論
 以上を総合すると、Yは組合及び組合員らの存在を嫌悪し、Yから排除するために組合員5名を解雇したとみるのが相当であり、もって組合の弱体化を図ったというべきであって、本件解雇は労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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