概要情報
事件名 |
住友重機械工業 |
事件番号 |
神労委平成24年(不)第31号 |
申立人 |
神奈川シティユニオン |
被申立人 |
住友重機械工業株式会社 |
命令年月日 |
平成26年5月9日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
申立人組合は、被申立人会社の子会社Zの下請会社で造船関係の溶接作業等に従事していた組合員3名の労働問題に関し、平成21年5月以降、会社の本社前で街頭演説やビラ配布を繰り返し行った。会社の人事本部に所属する従業員Y2は、こうした組合の活動(以下「本社前行動」)が行われている際、その様子を確認し、携帯電話のカメラ機能を使用して撮影するなどしていた。本件は、以上のような状況を背景に、会社が本社前行動を監視したこと、上記下請会社に対し、監視によって得た情報を提供したこと、及び下請会社に本社前行動を止めさせるよう指示したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
申立人組合は、被申立人会社とその子会社Zが一体のものであることを前提とした上で、会社はZの下請会社(3社)に雇用されていた組合員3名の使用者に当たる旨主張する。しかし、認定した事実によれば、会社とZとを一体のものと評価することはできず、また、会社と上記下請会社との関係等からみて会社が上記組合員の使用者に当たるともいえない。
他方、組合が本社前行動において配布したビラには会社の名前も記載されており、会社は本社が入居しているビルの管理会社から本社前行動の様子を確認してほしいとの要望を受けてもいたから、会社が本社前行動の様子を確認するのは当然のことである。また、そのことによって本社前行動は何ら阻害されていない。さらに、会社はZの下請会社2社に対し、本社前行動についての情報提供を行っているが、求められた範囲での客観的な事実に関する情報の提供にすぎない。
以上のとおり、会社が組合員3名との関係で労組法7条の使用者に当たるとはいえない。また、会社が使用者であるか否かにかかわらず、本社前行動をめぐる会社の対応に非難されるべき点はなく、かかる会社の行為をとらえて組合の運営に対する支配介入が行われたということは到底できない。 |
掲載文献 |
|
|