概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第79号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第79号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
学校法人Y |
命令年月日 |
平成26年4月14日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人が、組合員である非常勤講師の平成24年度の担当授業コマ数をそれ以前よりも1コマ減少させたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
認定した事実によれば、組合員Cの平成24年度の担当授業コマ数が減少した経緯に関し、①23年9月に行われた出講希望調査において、Cは24年度用調査表に希望する出講曜日・時限として、金曜日の3限、4限、5限を第1希望として記入した以外は、第2希望や出講可能日を記入していなかったこと、②23年11月に中国語専任教員らが平成24年度について平日5限の中級中国語の不開講を決定したこと、③23年11月18日に言文センター所長FらがCに対して、24年度に2コマになる理由としてカリキュラム編成上の理由である旨を説明していること、④法人は、団交でもCのコマ数が減った主な理由として補講を強化するために平日5限に中国語科目を開講しないことになった旨を述べていること、⑤Cの担当していた金曜日5限の中級中国語以外に水曜日5限の中級中国語も開講されなくなったこと、⑥C以外にも担当授業コマ数が減少した非常勤講師が3名いることが認められ、法人がCのコマ数を2コマとしたことはカリキュラム編成上の理由によるものであるといえ、この点について特に不自然、不合理な点は認められない。
申立人組合は、平日5限を補講に充てる方針は23年9月の出講希望調査を行った時点で周知されていなかった旨及び言文センターに平日5限を補講に充てる方針が以前からあったのならば、24年度用調査表に5限を避けるようにという注意書きを付けるべきであった旨主張する。
しかし、言文センターが22年6月にCに送付した補講依頼書には「補講の曜日・時限を月曜日から金曜日の5限又は土曜日の1限・2限・3限に設定しています」と記載されていたのであるから、5限は補講に充てるという方針は遅くとも22年度にはCを含む言文センター中国語担当非常勤講師に対し一定程度明らかにされていたものといえる。また、24年度の中級中国語を平日5限に開講しないことが最終的に決定されたのは23年11月であることからすれば、同年9月の出講希望調査において平日5限を避けるように注記しなかったからといって、直ちに法人の対応に問題があったとか、Cの担当授業コマ数を減らすことを企図していたとまでみることはできない。
組合はまた、24年度のカリキュラムでは5限に開講されている外国語授業が多数あり、以前から平日5限は補講に充てると決めていたとの法人の主張は恣意的である旨主張する。しかし、ドイツ語は平日5限は開講しておらず、フランス語についても通年のものは1クラスしか開講していない上、韓国語も最履修クラスを除くと通年のものは2クラスしか開講されていなかったこと等からすれば、組合のこの主張は認めることができない。
組合は、Cに24年度も引き続き3コマを担当できるという「期待権」があり、法人の運営する大学にはCに事前相談や事後調整などを行って担当授業コマ数の減少を回避する努力義務があった旨主張するが、そのような義務が認められる根拠はなく、組合の主張するような事前相談等を行わなかったことをもって、法人の対応に問題があるとはいえない。
以上のとおり、担当コマ数が減少することによりCに経済的な不利益が生じることにはなるものの、法人が24年度にCの担当授業コマ数を2コマとしたことに不自然、不合理な点はなく、その他法人の不当労働行為意思を推認させるような事情も認められない以上、法人がCの24年度の担当授業コマ数を2コマとしたことは組合員であること又は正当な組合活動を行った故の不利益取扱いに当たるとは認められない。 |
掲載文献 |
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