労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  海空運健康保険組合 
事件番号  都労委平成24年不第89号 
申立人  労働組合東京ユニオン 
被申立人  海空運健康保険組合 
命令年月日  平成26年3月18日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成24年3月30日、被申立人法人は従業員であったX2に対し、能力不足等を理由に同年4月末をもって解雇すると通知した。これに先立ち、法人は同人の事務処理に問題が生じる原因を精神的なものではないかと考え、同人に医療機関でのカウンセリング受診を勧め、同人はカウンセリングを受診していた。4月20日、申立人組合は法人に対し、X2の組合加入を通知するとともに、同人の解雇撤回等を求めて団交を申し入れた。5月以降、団交が2回行われたが、協議は調わなかった。
 本件は、その後、同年10月19日及び同月30日に組合が申し入れた団交に法人が応じなかったことに正当な理由があるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は法人に対し、文書交付及び履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人海空運健康保険組合は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人労働組合東京ユニオンに交付しなければならない。
年  月  日
  労働組合東京ユニオン
  執行委員長 X1 殿
海空運健康保険組合
理事長 Y1
   当健康保険組合が、貴組合から申入れのあった、平成24年10月19日付及び同月30日付け団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
   今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
    (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

2 被申立人法人は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨   被申立人法人は団交を拒否した理由について、労使双方、互譲の見込みがなかったから、団交を開催する必要性を認め難い状況であったと主張する。しかし、たとえ組合員X2の解雇の方針が変わらないとしても、申立人組合から求めがあれば、解雇理由、手続、解雇に至る経緯等について、団交で説明し、組合の理解を得るよう努める義務があるのであるから、法人がそのような義務を果たした上で、双方、互譲の余地がなくなったのか否かについて、以下、検討する。
 法人は、X2の解雇事由について、当初は就業規則第25条第3号、第4号及び第7号に照らして解雇事由に該当するとしていたが、第2回団交では後に精査して第7号(その他やむを得ない事由があるとき)に絞ったと説明している。そして、X2のカウンセリング受診と解雇は結びつくわけではないと説明する。しかし、第3号、第4号はそれぞれ「精神又は身体の障害により業務に支障のあるとき」、「身体虚弱又は老衰のため業務能率不良と認められるに至ったとき」と規定されており、X2の業務が滞留しているのは同人の体調に問題があるのではないか、また、心の負担があるのではないかと考えたために受診を勧奨したと法人が説明していたことを踏まえると、直ちに無関係であるとは考え難い。そのため、上記のような、解雇事由を精査して第7号に絞ったとする説明のみでは、解雇を先に決定し、後から理屈を付けていたのではないかという組合の疑問を払拭できるまでの合理的な説明を行ったとはいえない。
 法人は、X2のカウンセリング受診について、本人の同意に基づき、安全配慮義務の一環として行ったと説明しており、これに対して組合は、法人が同人に受診を強要したと主張している。X2のカウンセリング受診の経緯をみると、同人の受診に法人の当時の事務長及び総務課長が同行し、更には事務長及び総務課長がX2の担当医師から受診結果の説明を受けている。また、第2回団交で、組合が、X2が法人から受診するように言われた際、「断れる立場にないだろう」と言われたと主張したことに対して、法人は、自発的に受診したと考えていると答えるのみであった。
 かかる経緯と前述のようなX2のカウンセリング受診と解雇の関連性を否定できない事情とを併せ考えれば、組合がカウンセリング受診の明文の根拠の説明を求めるのは無理からぬことであるといえる。しかし、法人は、就業規則等について解雇に関する部分だけ提示する姿勢を見せていたのみであり、平成24年10月19日及び同月30日の団交申入れを拒否し、組合に対して根拠を説明することはなかった。このような法人の対応をみると、組合の要求や主張に対して十分な説明を行ったとはいい難く、法人はなお、団交に応じる必要があったというべきである。
 したがって、双方互譲の見込みがなかったから、団交を開催する必要性を認め難い状況であったとの法人の主張についても、理由がないといわざるを得ない。 
掲載文献   

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