概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第50号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第50号 |
申立人 |
A(個人)、B(同) |
被申立人 |
株式会社Y |
命令年月日 |
平成26年3月17日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社でタクシー乗務員として勤務していたAは、平成22年4月から24年3月まで申立外労働組合Xの委員長を務め、同じくBは21年9月から24年3月までXの副委員長を務めていたが、両人とも同年5月にXを脱退した。本件は、会社が23年12月20日付けでAを、24年1月20日付けでBをそれぞれ解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は会社に対し、A及びBへの文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人Aに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
A 様
株式会社 Y
代表取締役 C
当社があなたを解雇したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
2 被申立人は、申立人Bに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
B 様
株式会社 Y
代表取締役 C
当社があなたを解雇したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
判断の要旨 |
1 申立外労働組合Xの委員長Aの解雇について
被申立人会社は、Aの解雇は売上の低迷と、平成23年11月21日に社内で発生したトラブル(勤務終了後に飲酒をしたAが会社内で従業員Dと口論になり、その際、Aの行為によりロッカーにへこみが生じるという事態が発生した。)の際に同人が行った行為(以下「11.21行為」)によるものである旨主張する。
Aの売上についてみると、会社が23年10月27日付けで同人に対し、(i)同年10月の税抜売上高が基準額を下回ったので、再教育指導を行う、(ii)再教育後の乗務においても基準額を下回った場合は、就業規則第19条第1項の規定により解雇を通知する旨記載した教育指導通達書と題する書面を交付したことが認められるが、翌月の11月のAの勤務成績は基準額を上回っていたのであるから、会社は、上記書面の内容に反して同人を解雇したというべきである。また、他の乗務員と比べると、Aのみが際だって勤務成績が悪いとはいえない。
そもそも会社がA以外の乗務員に対し、勤務成績を理由に解雇したことがあると認めるに足る疎明はなく、会社の部長Eは、売上高が低いことを理由に解雇された乗務員はA以外には記憶にない旨証言している。
そうすると、Aの売上が低迷していることを理由とする解雇には理由がない。
次に、11.21行為については、業務の遂行に直接の影響を及ぼすものとは解し難い上、相手に暴力をふるったと認めるに足る疎明はないのであるから、Aの行為によりロッカーにへこみが生じたことを考慮しても、解雇に相当する程度の重大な義務違反とまでは認められない。また、会社は、トラブルの原因や事実関係について十分な調査を行い、公平で客観的な判断をしたとはいえず、むしろ、トラブルを口実にして直ちに解雇するとの結論を出したとみるのが相当である。
さらに、申立外労働組合Xと会社との関係についてみると、会社が提案した斜め配車(土曜日から月曜日に休日を集中させない方式で乗務員のシフトを組むこと)の導入にXが反対し、両者の関係が緊張していたところ、Aが解雇される直前には会社が斜め配車の導入への姿勢を強めていたと解される。
以上のことからすると、会社がAを解雇したのは、同人がXの委員長として組合活動を行っていたこと等を理由とするものとみるのが相当であり、労組法7条1号に該当する不当労働行為である。
2 副委員長Bの解雇について
会社は、Bの解雇は、平成23年12月8日、出勤してきた同人が運行管理者Fと口論になった時の同人の行為(以下「12.8行為」)によるものと主張する。
しかし、12.8行為についてBに解雇に相当する程度の重大な義務違反があるとは認められず、会社は同行為について公平で客観的な判断の結果、同人の解雇を決定したとは到底認められない。
Xと会社との関係については、前記1で述べたとおり、両者の関係が緊張しており、Bの解雇の直前には会社が斜め配車の導入への姿勢を強めていたと解される。また、会社はAとBを相次いで解雇しており、Aの解雇が同人の組合活動等によるものと判断されるのは前述のとおりである。
以上のことからすると、会社がBを解雇したのは、同人がXの副委員長として組合活動を行っていたこと等によるものとみるのが相当であり、労組法7条1号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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